テキスト1970
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この花器は高さ33センチ、横45センチの大作の化瓶です。目ガは15キロありますから、相当重い花器です。京都の新人陶芸家の作品で黒掲色の単純な形の花器ですが、若い作家の作品らしい感じのある花瓶です。焼成の技術も形もまだ不充分の作品ですが、若々しい感じのあるところを買いました。いけばなの色と形をよく考えて活けたならば、この花器を高く引き上げることになると息います。かなり大きい花を活けることが出来ますが今日は軽く小品の花を入れて調和を考えてみました。首を花器の上につみ市ねる様な感じに盛りましたが、黒い花器に紫赤の花は配色も美しく、面白い感じです。写真では全然わかりませんが、強い花器に軽い花は、崖にかかつて咲く紫紅色のアジサイを5本、低く花アジサイの趣きを見せています。⑤ ⑥ ⑥この壷は高さ40センチ、下部のひろがったところの匝径も40センチ短度あります。濃い亦紫の辰砂(シンシャ)の壷です。この花瓶に「ヤハズのかや、白百合」を軽い感じに活けました。ヤハズは又の名を段すすきといいます。すべて穂(尾花)の出ないうちは萱(かや)といい、尾花の立つ頃には薄(すすき)といいます。この壷はかなりどつしりとした壷ですが、かや3本、百合の開花1本で調子をとつてみますと、中々よく調和して貧弱な感じがしません。小さく活けた花も大きい花にまけないほどの味わいをみせています。花器を鑑宜する場合、こんな程度に活けますと、花器もはつきり見え、また花器を引き立てることにもなります。しまがや、やはず、はまおぎの類は、新鮮な材料を水切りして、その後あしもとを熱湯につけて二、三分湯気のかからない様にしその後冷水にうつします。一一l \ ヽ⑥11

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