テキスト1970
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すがその合流点に高さ50メータ—アリウムの細い種類のもの20本ほどを、壷に入れました。壺の大きさと重量感に対して、アリウムの軽やかさの対照です。この様な瓶花は形式から離れて、感党的にそのものをみて、一秤だけつつこむ様に無技巧にさしたところに特徴があるのです。あしらいの花をつけたいところですが、つけないところに新鮮な味わいを感じるのです。花屋で買ったままの一束をそのまま、足もとをくくつて剣山にとめました。大きい花器に小さい花を活けてみました意外に面白い感じが出るものです仁松作の紫紅色(しんしや)の瓜形器ですが、これにガーベラ4本で調子をとりました。紅とオレンヂと白大きさのバランスがよく似合っているように見えるのですが、実際は重量感のある花器に出純な小品花で、珍らしい対照なのです。この瓶花は色調の配合にも工夫のある作品です。②この花器は高さ25センチ、横40センチのたっぷりとした花器、宇野の壷です。かなり大作の花が入る花の三色の花に葉2枚を添えて、剣山に密めてあります。これも写真では② ① 少しかわった試みをしてみました。「大きい花器に小さい花を活ける」というテーマを考えてみたのです。それについて、余談ですが息い出のお話をします。京都の嵐山にそうて流れる保津川は有名な川ですが保沖川の上流に、高糾の谷を流れる精沌川とが合流する地点があります。「落合」おちあい、というのでほどの大巌岩が屹立して巌の凹の様な形をしています。すばらしい景色の場所ですが、その見上げるばかりの巌にはッタカヅラ、テイカカヅラ(定家かづら)などがからみついて茂つています。晩秋の頃になるとそのツル草が紅葉して、緑と水の中にひときわ美しいさびた朱の色彩を加えることになります。大きい巌に細いッル草。これは自然の景観として見るのですが、この太に対する小の配合をみて、面白いバランスだなと思いながら、やがてこれをいけばなにも応用してみることを考えました。ここに掲載する八つの作品は、大きい花器に小さい花を、という貯想なのですが、実際に作ってみると中々、形としてもUTI白いし、花を引き立てるためにも、花器を引き立てるためにも、変った試みといえます。この八枚の写真は、花が比較的大きくみえます。花器の大きさはそれほど目立たなくて実際作品の感じを充分、伝えることはできませんが、その考え方を理解して、時として、こんな作品も作つてごらんなさい。この場合、花器が主になりますから、しつかりとした観貨に価いするよい花器を使いたいと忍います。、,0. 1より一0. 8まで)

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