テキスト1970
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c長方形の黒褐色の大篭。これは古風な道具入れの篭です。今はあまり使わない言葉ですが「胴乱」どうらん、という容器がありました。いろいろな携帯品を入れる手提篭、小さい手まわり道具を入れる澄、植物採集に行くときの金屈製の肩さげ容器すべて、こんな用途のものを「胴乱」といいます。写真の篭は古い年代のもので朱色のさびた紐がついいます。これを花器に利用して、フトイ、ホウの木、ライラック(紫花)の一「種を活けました。ホウの木はモクレン屈の喬木で、モクレン、タイサンボク、オオヤマレン、コプシ、などと同系統の木、六月初旬、白い花を咲かせます。オオヤマレンとほとんど同じ姿のものです。写真でみる様に直線立休の形のもので、まつすぐに立つ形が、さつばりとした感じをもつており、芳葉の出るころは新鮮な魅力があって他の材料とも闊和のよいものです。喬木で、白花のものと紫花のものがあり、日本では関東より北方に多く北海道などに多く咲きます。フランス語で「リラ」といわれています。うな形式で挿した。フトイとホウの木の直上形を配合したわけだが、ホウの木の下にライラックの紫花の集団をつけたところが、形の上にも色ライラックは南ョーロッ。ハ原産の磁に壷を二個入れて、株分けのよ彩の上にも異色があるということになります。古風な篭に、フトイ、ホウの木は娯い好みの配合ですが、これにライラックの淡紫色の花をつけて、このライラックでエキゾチックな味わいを出そうとするところに、この瓶花の考え方があります。ライラックは水拗げのよい花ですが、築の形がわるく、農函や街路樹として咲いている姿は明る<美しいものですが、いけばなの場合には葉を適当にとり去つて、よく整狸して活けることが必要です。水揚げは足もとを焼く程度でよく、花を多く集めて梨団的な花の美しさを見ると効果があります。c ⑪褐色の背高い壷、新しい感じの陶器です。白い祁秤芍薬、秋田ふきの葉、こでまり、この三種の瓶花です。しやくやくはもと中同北西部からシベリアにかけて分布していたもので、シベリア鉄迫の沿線には野生のものが群落になつて咲く、ということをある旅行者からききました。中国から11本へ渡り、また欧米にもつて行かれて、品種が改良されて、今H、私辻の使う袢種芍薬がつくられるようになったといわれます。牡月とともに園芸品種の多いもので数百種に及ぶ秤類があり、黄色の珍らしい花もあります。日木種のものは水似げが悪く、洋秤のものは水楊げのよいのも特徴です。簡単な瓶花ですが配合にも異色があり、コデマリを1本だけ抑してあるのも而白い形です。初夏らしいさつばりとした色調です。r`7 ;^“ペ―⑪

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