テキスト1970
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Rまつ黒の壷、細くてやや背高かく、軽やかな感じの壷である。シャクナゲ(石楠花)は山地に自生するかんぽくで、淡紅色の花が普通だが、まれには黄色、白花の種類がある。オランダ種のシャクナゲには美しい色彩のものがあり、うす紫の花色のものもあり種類も多い。この賄花は紅色の花、緑の葉、スイートサルタンの淡黄色の花と細い茎の軽やかさ、これが黒い花器に配合されてあざやかな色調をみせている。スイートサルタンの細く美しい茎の線を計卵に入れて、明る<ひろびろとした感じの瓶花を作った。R山木の緑の葉(名不詳)これに紫色のショウプを配合した篭入れの瓶花である。篭に紫ショウプは大変調和のよいものだが、なるべくは、中開(又は開花)とつほみと取合せると調子がよくなる。堅い花2本では色彩にも乏しく淋しい。荒目の篭この2種の材料が調和がよい。である。白花にしても紫花にしても一種(二、三本)を壷入れに活けたのは、いかにも初夏の感じの深いものである。日本稲の木の葉や草花とは調和するが、洋花とは調和しない。(魚かごを模した器)に自然趣味の菖蒲は種挿しが感じのよいものc杉の若木、諜い緑の葉の鶏冠杉(とさかすぎ)、山梨の白緑の葉、この三種の木にオレンヂ色のスカシュリ2本をつけた。写真では複雑にみえて、わずらわしい枝葉が多くみえるが、実際にはこの程度の重なりで丁度よい。木の葉の緑を三種あわせて、形の上からも個性の違った三つの木を配合して色彩的にもわずらわしさを感じられない。木の緑の中ヘオレンヂ色のスカシユリは色彩を引きしめる役目をしており、花器は濃淡を染めわけた青く紫色の壷である。c 5月から6月へかけて、花の水楊が悪くなります。五月は朴の花木が終つて、ボケ、コデマリ、ライラック、バラの様な「かんぽく」の花の季節です。山に野生のナッハゼ、ムロの木その他の木の若葉の発生する時期で、若業は吸水力が弱く、茎も柔かく、土にあるときから葉先がだらりとしているものが多いのです。邸花でも百合、カーネーション、カキツバタ、ジョウプのようにしつかりとした体質のものもありますがいけばな材料の中には芳変のある木花草化が数多くあります。そこで注意を要する季節ということになりますが、木の枝に新葉のついた材料(例えばナッハゼ、コデマリ)は、芯芽の柔かい部分だけ、活ける前にとり去つてしまうのがよく、ライラックの様に水揚のよい菜であるのにしおれる部分が出米るのは、その枝の中でも特に充葉の柔らかい部分ですから、形のだらりとした部分は最初にとりのぞく様にします。草木ともに、水拗げの悲いもの、ときまつているものもありますし、初夏の材料への注意かなり水揚げのよい花とされているのにしおれる材料があります。同じ草木の中でも、それぞれ個々の品質があります。例えばバラでも、しつかりとした花葉茎ものは、必ず水揚げがよいし、同じバラといつてもしおれやすい種類もあります。これは、それぞれの品質によるので、もつとわかりやすくいえば高級上質の花は水掲げもよく日持ちがよいといつてもよく、下級品は品質種類ともによくないから、水揚げもよくない、ともいえるでしよう。これは全般的にいえるお話ではありませんが、花屋で買う花の場合は、大体あてはまる考え方だと111心います。日本柾の芍薬は(大体に水楊げが悲い)洋種の芍薬は(水楊げがよい)というのは、これと同じ意味です。しかし、庭に咲いている花を朝早く切りとつて、簡単な処狸(水切り、切り口を焼く)活けるといった垢合は、かなり水楊げが悪いとされている花でもよく水揚げるものです。n本種の芍菜でも、むくげ、辿の様なものでも、わが家の庭で切りとったものは、日持ちがよろしい。花屡で買う花は新鮮な材料を選訳することが第一ですが、なるべく上質のもの(値が高いが)を買うことです。数が少くてもよいから新鮮高級なものをお買いなさい。これから反へかけての必要な考え方です。3 .... i

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