テキスト1970
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一’.;ヽ.. R桑原次郎兵衛は冨春軒権左衛門の弟である。家元に劣らない立花の名手で、時蟄粧所賊の次郎兵衛の諸作品をみると、自然の諸木の個性を巧みに使って、花形はひろくのびやかであり、創作的な新しい工夫のある作品が多い。冨春軒の作品は正統的なものの他は重厚な品位に富むものが多いが、これに比較して次郎兵衛の作品は飛躍的、意欲的な作品が多い。同じ桑原家にありながら、その作品が対照的であるのは、ことに興味が深い。Rの作品は「直真立」すぐじんだて、といつてまつすぐな真を立てる形で、その直立した形に対照して、左右の枝をのびのびとさし出して、ゆるやかな曲線を作り上げている。右上の梅もどきと大葉は「副」そえ、右下の急に曲った枝(松)は「控」ひかえ、左上の大葉は「見越」みこし、左中段の梅もどきは「請」うけ、その下の左へ流れた松の枝は「流枝」ながし、という。中央部は「胴」どう、「前nn,lbL」まえおき、と枝が上下に重なつており、その上部のされ木の真の前に直立してあるのは「正真」しようしん、という。生花、盛花、瓶花の名称も立花から始つているので、説明を加えておく。この花形は左下の流枝に特徴のある形なので「流枝持立」ながしもちだて、という。(生花なれば招流し)Rこの瓶花は(にわとこ)の打立した茎、右方の曲った形のにわとこ、この二つの形がRの立花に似通った形がある。にわとこの木は早春に浅みどりの芽を見せる雅趣あるかんほくで、南天や猫柳と同じように直立した形をもつ花材である。に、にわとこを立て、右のにわとこは「控」の形、左方のアカジャぐR瓶花デンドロビュームにわとこ、アカシャ立花のされ木の直立と同じ感じを「請」と「流枝」の形にみたてて挿した。右上部の「副」はこの瓶花としては、美しい空間をこわすことになるので、むしろ入れない方がよい、と考えてとりやめた。中央部の「胴」と「前仰」の椒所へはデンドロビュームの紫紅色の花を3本入れ、芹方の後方へ、アカシャの葉の間から紫赤の花の見えるように汗閾の花を入れた。花器はまつ黒のガラス器で配色が美しい。5 棗裔呑衛@ 立花(直真流枝持立)•••• ...

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