テキスト1970
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r・ c大輪のガーベラはオレンジ色、紫紅色のもの6本。黒褐色の実と、枯葉色の茎のジーゼル、この2種をとり合せて、渋い紺色の広花瓶に活けた。花、花器とも強い色で、充分強い色感であったが、白黒の写真となつてみると、白黒の形があるだけで全然、無意味の作品となった。カラーフィルムで数枚とつてあるので、カラー印刷の場合に使うつもりではあるが、ここに掲載するのもはずかしいほど、効果のみえない作品である。ジーゼルは黒いほどの褐色、壷の色、ガーベラの赤色調、洋画風な色の調和をもつ瓶花である。いけばなの中には形も色もよい作品、色彩的には平凡だが形のよい作品があり、これとは反対に、形は平凡だが色調に優れた作品がある。作者も形よりも色彩に興味と重点を考えて作る場合があるのだが、この瓶花もそんな傾向の作品といえるだろう。c ⑬ ⑪赤い実のせんりよう、なたねの二稲の瓶花である。備前焼の褐色の壷に入っている。こんな程度の細く軽やかな花器には花もあつさりと入れて、玄関の床の間などに置くと、よい調和となる。冬の実ものには、なんてん、せんりよう、からみずき、たらえ、ピラカンサス、さんごじゅなどが庭の冬に色を添えるものだが、いけばなにも冬季は赤い実のきようぼく、かんぼくを材料に使って、生花盛花瓶花にいろいろ使うことになる。最近は温室の花も他かにあって、冬のいけばなにも不自由することはないが、古い時代には温室の花もなく、冬には実のなる木ものが唯一の色を添えるいけばな材料であった。の花には深い落着きが感じられて好ましいものである。せんりよう、なたねの様な素朴な趣味□ージーゼルガーベラ(瓶花)せんりようなたね(瓶花)

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