テキスト1970
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2、3ページで伝統生花の形をおみせしたので、この4、5。ヘージでは生花の変った調子のものをみていただこう。以前にもお話したことだが、伝統生花には、その形式と技術の中に蒻敬すべきよさがあるのだが、段々と時代も新しくなり、今日の生活の花として、伝統生花を考えてみると、昔ながらそのままでは今日に調和しない、ということが考えられる。室内装飾の変化、それになによりも、生花をつくる材料の花が、年ごとに新しいものをみるようになり、生花にも使える洋花の類も増してきたことであるから、生花の材料の考え方も、ひろく自由に選択する必要が生れてくる。花器も新しい様式のものが作られる様になり、生花にも新しい花器と材料、活け方のエ夫が必要になつてくる。伝統芸術は古来の方法形式をまもることであるけれど、今日の生活に調和する自由創作をつくりだすことも望ましいことである。そこで、現代の生花としては次の\ Rューカリ、紅色のスイトビーである。花器は白磁の細口花瓶で、ロもとは1本の横はりの木で留めてある。ユーカリの左右の枝のバランスが生花らしくないのだが、わざと穴右にたれさせて軽やかな調子を作っスイトビーの紅色のもの10本ほど、留の位樹にかためてさし、胴の位置へ1本だけ長くさして、スイトビーの形をひろやかにした。 生花であるから、足もと「水際」のところをひともとにまとめ、花器の口辺の美しい仕土げを考えている。この生花はなんとなく明るい。瓶花にもない別の味わいを作り出していると思うのだが、どうだろう。いわゆる創作生花というものは、こんな作品が代表するものと考えている。Rねこやなぎ、紅色チューリッ。フ2本の生花である。花器は岡山いんべの陶器で、新しい感じの形である。高さ20センチ程度。猫柳から花器の下まで約50センチ程度の小品花である。猫柳の軽い枝2本だけを直線的に上方へのばして、簡浄清楚な感じである。猫柳とチューリッ。フは瓶花に側和のよい材料だが、生花にも中々うつりがよい。色彩的にも美しい。この生花は柳を軽く挿しチューリツ。フを大きく入れ、普通の生花のバランスを超越しているところに特徴がある。4 創作生花の考案. RR }R @ ユーカリねこやなぎスイトピーチューリップナこ。

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