テキスト1970
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釣^1(つりあい)のよくとれたいけばな、これはどんな場合でも必要なことです。均衡がよくとれているとか、バランスがよい、などといいますが「造形上の均衡」については、私達がいつも花を活ける場合に注意している点でもあります。また、釣合いがよいとか悪いなどという言葉は、形の上だけのことではなく、色彩の垢合にも考えられるし、分量の多い少いという場合にも考えられることです。いけばなを即う場合に、基本花型から入って行きますが、その辿本花型が一ばん品礎となるバランスをもつている形といえるわけです。ところが、段々、研究が進んできますと、平凡な形では面白くない、ということになり、ここで新しい形を作ろうとする態度をもつことになります。新しい自分の考える形を作ることは、中々むづかしいことですが、(大黄松スイトビー)釣合を考えること専渓この場合に注意せねばならぬことは、均衡のよくとれた形、均衡のよくとれた色彩の配合、また、材料を仙う場合、その分贔の多く使ったり少なくしたり、その量の釣合、こんな点によく考えて、形、色、量などの配置の上に研究と工夫をこらして、新しい感じをつくり出すことが大切です。このページの作品は大黄松(だいおおしよう)と紅色のスイトビーの二種の胚花ですが、大黄松は50セソチ程度の高さのもの1本、濃い紅色のスイトビーは前部と後部とを合して30本ほども入っています。後方の花は緑の松葉を通して色彩をみる様に考えていますし、前部は花器の前方低く垂れさせて、淡緑色の花瓶の上へ色を重ねています。この嵩合、松葉を中央、左方、も方と分最も多く、少なく配置していますが、左方には松の頂鼠が加わっているので、スイトピーの強い紅色を右方に多く挿し、色と形のバランスをとつてあります。そして花器のjひろがりの形に調和するように、花型も逆三角郡を作って均衡を考えています。絵圃にしても彫刻にしても、すべての造形芸術の美は、この均衡と調和によって成り立つているわけです。洋室に調和のよい花毎月1回発行桑原専慶流編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1970年2月発行No. 81 いけばな

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