テキスト1970
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す。下部の前後に四方形の空間を作つて、足のような形にし、ふしの上に丸い穴をあけました。角と丸との調和という考え方なのです。この花器を2個作り、それぞれに2種の花を挿し、形と色彩の調和をとる、という粋想なのですが、写真の瓶花は、水仙と白椿の二種配合です。二つの花器には剣山を使って、なるべく自然風にざんぐりと活けてありますが、水仙の直線と椿の花葉や、細い枝の曲線との組合せでもあc高さ18センチ程度の竹花器でるわけです。水仙を2本、少しななめ前に條斜させて留め、右の花器に入れた椿は水仙の後方へ枝をさし出して、水仙の花葉と椿の枝葉との交叉と重なりによって、花型の厚みと複雑の美しさを作ることに注意してあります。この花器は、四季ともに使える花器ですが、なるべく堅やかな材料がよく、紅梅の細い枝に白椿、温室咲きの雪柳に紅ばら、やまぶきにかきつばた、白牡丹、紅牡丹、青楓にささゆり、若芽のたれ柳に紅椿、雪柳の緑の葉にかきつばた、紅葉に山菊などよく調和すると思います。紅椿とうす紅椿なども上品にみられることでしよう。1本だけ使って活けるのも淡泊でよいし、2本合せて飾りつけるのも意匠的です。1本だけの場合には姫百合一種、かきつばた一種などの様に、日本趣味の花がよいと思います。また、趣をかえて洋花もよくうつります。洋閾にタマシダ、クロトンにガーベラ、ダリアに、ミリオクラタスといった調子のものも、この花器によく調和します。c ⑪この二つの花器をつみ璽ねて使うことのできるように考えて、花器を作ったのです。二つ重ねてみると丸、四角、丸、四角の穴が上下にならんで形としても而白いですね。同じ竹を二つに切つて作ったのですから、ほとんど―つの花器にみえます。写真の花はガーベラの朱色淡紅色5本、タマシダ10枚、ガーベラの菓4枚で形作ってあります。竹の穴を見せるために、上部にだけ花材を挿しましたが、下部の丸い穴にも花が入るのですから、上部を軽く材料を少くさし、下部の丸い窓に小さい花を入れることもできます。また、この花器を三つ作って三段に重ねることも考えられます。とにかく意匠的な花器ですから、鎌味のない上品な趣向でありたいと息います。さきにのべたように、竹は直線的な形のものですから、新しい考案の形を作るのは中々むづかしいのですが、切り方の上手下手よりも形の美しさ、優れた考案という点にボイントをおいて、あなたも新しい花器を作ってみませんか。ー⑪

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