テキスト1970
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Rきのう(12月12日)しい時間のうちに写生した、水仙(すいせん)の生花の図です。伝統の竹花器に活けた水仙ですがこの花器は「立鶴」たちづる、という竹器で、意匠的にも中々すぐれています。竹器は昔から生花にも瓶花にもよく使われる花器ですが、ことに伝統生花の花器として、用いられることが多く、竹器の形に調和した生花の花形も種々あることは、皆さんもご承知のとおりです。生花(せいか)と竹器がよく調和することは、生花の形、技法、色調に関係がありますが、一ばんの要点は生花の単純素朴な形と、竹器の自然趣味の味わい、その単純さとがよく一致して、いけばなを引き立たせまた反対に竹堺を引き立たせるとこ、あわただろにあると考えられます。なおその上、生花には足もとの技巧が大切であり、くばり木をかけ水ぎわをととのえるという工作をする上に、竹器は大変仕事がやりやすいといった点もあるのです。水仙の生花は水盤にも調和のよいものですが、竹器に入れた真の形(まつすぐな形)の生花には一屈の気品が感じられます。生花は技巧をつくす花ですが、自然の植物と生花の形と技法との結び合いに、無理のできないように、技巧のすぎないように、自然をこわさないように、その中に流儀花の形をととのえるということが大切なのです。ことに水仙のように葉組みをして形をととのえるような生花は、一層技巧と自然との調和に注意を要するわけです。R竹の高さは42センチのもの2本上方をななめに切つて対立させました。竹を2本立てたというだけで、特に変ったところはないのですが、これまでの花器はこんな場合、少し長短に作って、上段下段というように意匠をつけるのが普通です。この写真の花器は高さも同じであり、上端が少しななめに切つてあります。左の竹筒の後方に8センチばかりの低い竹筒を1本閥き(前からは見えない)花はボケの白花、百合、ビンクのバラ、前方へ垂れたデンファーレ(祥閲)の紫赤の色を加えてあります。竹器の瓶花としては、明るい感じのある配合といえます。竹の単調さを花の変化、色彩で別の感じを出しているといえるでしよう。軽やかな調チの花の方に工夫のある作品です。R 3 @ R 生花R ほけ百合水仙の図(花器たちづる)(花器ばらデンファーレ2本の筒の対瓶)皆

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