テキスト1970
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R秋も深まり庭のすすきの尾花も乱れてあわれな姿となった。株もとから若芽の葉がのびて緑の葉が美しい。季節的にははずれた感じだが、五、六本切りとり瓶花に活けることにした。白花のりんどうを5本とり合せて渋い青色の花瓶に入れたが、季節はずれの感じだが落苦きのある花が出来た。りんどうの葉が少し紅葉して、すがすがしい緑の中に色を添歪ている。大体いけあげてから左の下の部分にすすき葉の太いものを一葉さしそえたが、水平に弧く線を引いたこの一枚の菓で、花形がすつかり変つて力強くなった。この一枚の葉がなかったなれば、全休が平凡な温和な花であるのだが、一枚の葉ですつかり調子が変ったのは、私も意外に感じたほどである。晩秋のこのごろ、山すその野路を歩くとすすき葉の紅葉にまじつて、雑臣の葉が深い紅色をみせている。木々の紅葉も美しいが、草の葉の紅築は一屈風雅である。おそ咲きのりんどうの葉は紅菜して、名残りの紫の花との色の調和も美しいし、さんきらいの朱い実と人りまじつていよいよ秋の雅趣を憾じることになる。秋のいけばなには、こんな自然のも、炎しい梢紹といえるだろう。深い味わいをうつして活けることRグレ型の水盤でこの形の花器は古い感じの形である。ヵュウの花、黄色のさん菊、しだ、ほととぎすの四種の盛花だが、花形としては温和な形で、むしろ平凡といえるほどの作品である。しかし、一般的な好みとして、こんな盛花が好きだと思われる人もあるかも知れないと、参考作品として掲載することにした。だえん形の水盤、長方形の水盤は戦前に流行した花器で、その頃は大きく広いほど好まれたもので、自然写尖的な(風景をうつす考え方)盛ーの色の陶器水盤、だえん花が流行した時代で、花道だけではなく、日本叫などの美術作品にも写尖的な作瓜の盛んであった時代であった。したがつて盛花、瓶花にも写実的な作品が多く活けられ、その便宜上、水盤も広い水面のものが多かった。時のうつり変りはものの見方もすつかり変つて、今日、長方形、だえん形の水盤はなんとなく古い感じがする。この水盤は、これで2回目の写真である。訓回もあまりよくなかつた。この次には、この水盤を活かせるようなよい作品を作つてみたいと考えている。6 RR すすきかいうしださんぎく白花りんどう(心@

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