テキスト1970
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いけばなの材料に、木もの、草ものの枯れた姿を興味あるものとして用いるようになったのは、昭和時代に入ってからだ、ということが出来る。それ以前は木の実、草の実にしても枯れたものは用いることも少く、生花にはうるおいのある花葉が主たる材料であり、実つきのものもなんてん、せんりょう、おもと、うめもどきの様な材料にかぎられていた。瓶花が盛んになった今日では、草木の果実はどんな種類のものでも、ほとんど使わないものはない、といってよいほど自由に使うし、なまのものはいうまでもなく、枯れた実もの、枯れ葉、枯花、つる、若芽、幹と根、など柏物の四季を通じてあらゆる姿をいけばな材料として用いるようになった。いけばなの材料も広範囲になったといえる。紅葉は一般に美しいものといわれるが、黄葉はあまり賞美されない。紅葉も黄葉も枯れ落ちる前の草木の姿だが、ひろく植物の四季にある姿を観察していけばなに利用することが望ましいことである。.. c c枯実になまの草花をそえると、きわだってあざやかに美しくみえる。枯れた材料にも美しい姿のものもあるし、美しくないものもある。さらっとした褐色のきれいな枯れた実ものを選んで、これにみずみずしい草花をつけると、色彩的にも芙しくうるおいのある花が作れる。ひまわりの枯尖には菊、ばら、ダリアなどことに調和がよい。枯実にもその材料によっては汚ないものがある。特に美しく枯れた姿のものを選んで使うようにしたい。岩真の花はダリアの濃赤と紫白の花4本を添えて洋風の花瓶に挿した。⑬はしばみと白椿の瓶花である。10刀に入るとこのはしばみの実が大きくなり、葉もまばらに落ちて風雅な姿をみせる。初冬の季節になると菜も黄ばみ、また紅葉していよいよ雅趣が感じられる。はしばみには白棒がよく調和する。まつすぐな直線の細い木を三、四本'Mてて、白椿をそえると形も色彩もよく謁和して、初冬らしい瓶花となる。しらたまつばきというのは、まんまるい形のつほみの白椿をいうのであって、長い形の花はい。均真の瓶花は'1いn玉三角型の花器に爪純な感じに入れた立体瓶花である。椿ではな3 ........ ......... ⑪

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