テキスト1970
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スイセンは「水仙」と漢字で書くのが普通の様になつている。スイセンは昔、中国から伝えられてきた花といわれ、中国では古来、水仙の花を貨美して「天にあるを天仙といい地にあるを地仙、水にあるを水仙という」と、形容詞で水仙は凡俗を超越した花であるとする説があった。水仙専渓また高潔純白の美しさ、女性的なやさしさを象徴する花として多くの文学の中にとりいれられている。わが同へは中国から伝わったとされているが、スイセンは批界的に種類の多い花で、イギリス、南欧スペイン、ボルトガル、シリア、インド、巾国というように世界的に野生種栽培種が多くあり、わが国では、すでに有名な淡路閏、福井県の越前岬戻総半島の各地方が野生地となっている。関西へ送られてくるスイセンは、越前と淡路のものというのが常識である。日本のスイセンはナルキスス、タゼッタ種という種類だが、その他に俗にいうラッパ水仙の種類、黄水仙・また糸水仙などという茎の細い黄水仙もある。いけばなには伝統的にも匝要な材料となつているのだが、立花生花など古典的な花では、水仙を技巧的に扱つて、特に立花では「水仙一式」といつて一種生の五種目のうちに入つており(五一式という)いハリガネをさし入れて、技巧的な花形を作ることになつている。、葉に細生花の水仙にも活け方がいろいろあり中々むづかしいものだが、この号のテキストには季節の花、「水仙の牛花」について作品を掲載することにした。盛花にも瓶花にも活けることが多いので、四季の花のうちでも重要な花材ということができる。水仙の生花には「葉組み」といつて葉の組み方が定つているので、その組み方を写真と文で解説することにしたが、これを参考として実技の練習に役立てられる様に希望する。毎月1回発行桑原専慶流No. 80 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入すいせんは淡泊清楚な感じがよい。すいせんの一種挿,また写真のように白椿と二種.小品の銅器に入れたような瓶花は,花の品格を高めることになるだろう。すいせんの小品花1970年1月発行桑原専慶流家元いけばな

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