テキスト1969
99/147

をうごかす冷風、おきまりの様な日本の夏の情景です。このごろは窓をしめて冷切で及を容す。大分変つてきましたが、いけばなには急激に温度のかわる部屋には花もちがよくあ膀を与えます。ません。花をしおらせるようなもの夏には窓をあけはなして、すだれりません。冬の暖房でも暖ためたり、暖房が止ったりする部屋には、花のためには不自然ですから悪い影扇風器の風、これはいよいよいけです。そこで自然のままの湿度、窓からはいる爽やかな風、花にはやはり迷暑ともに自然の温度がよいわけです。さて、ここに掲載した2枚の写真をみて下さい。R窓ぎわの棚にガラス器の花瓶をおいて、花は紅色のグラジオラス器はブルー、百合は淡い褐色を交えた白い花です。庭の樹を背景にして強い色の花と花器、光りを通して色彩が美しく、ガラス器の水が光つています。を5本、リーガルリリーを3本、花庭のしゅろの葉が緑色の背景となつて、花の美しさを一層ひきたてています。窓を大きくあけ放つて、窓の逆光が花の色を鮮やかに浮き立たせます。閲放的な夏のいけばなには、こんな工夫もあるのです。風が吹き込んでも日がさし込んでも、大丈夫という花を選んで、はつきりとした爽やかな味わいのある花、こんな盛花はいかがでしよう。庭の木を計算に入れて、泌る緑の背景を利用した盛花ともいえます。R茶庭風の玄関に大きい水鉢があります。つくばいの尚辺には、つばき、しだ、伊予ざさ、あじさいなどが植えこまれ、しずかなたたずまいです。この水鉢を利用して花を飾りました。緑の植込みに色を添える意味で庭のいけばなを工夫するのも、風雅な中に美しさがあり、来訪のお客様へ、なんとなくやすらぎを与えることにもなります。花は、場所に調和する様に日本種の花がよく、大輪咲きのはつきりとした花色のものが好ましいと思います。写真の花はささ百合、白花てつせんの二種ですが、水に浮かせる様に、怪くふちにもたせかけて留めてあります。たっぷりとした水鉢ですから、風があたつても口光をうけても、普通の部展の花瓶に挿すよりも2倍程度、日もちがよいのです。夏の朝頻、ふようの花、すいれんの花と浮き葉など、適当な材料でしよう。日光をつけるので新鮮な葉色と花色が比較的長く保ちます。RとRは庭の緑と燦塙を利用したいけばな、といえますが、こんな花の利用法は古い時代にも行なわれています。手桶を花器にして草花を数種さし込んで、庭の装飾に。首みじかい花を(残花)を水盤にならべて、庭右に附いて装飾にする、こんな意匠花が江戸時代の絵巻にあります。なんとなく気軽に挿せる花です。11 環境と調和する様に庭とし‘けばな

元のページ  ../index.html#99

このブックを見る