テキスト1969
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c七月八月の頃、湿地に自生する草である。「草木図説」をしらべたが記載がないので、私の記憶のままにさんばく草としておく。おおばこの花葉に似ているので同系種のものでないかと思う。伝統的に古くから珍重される草花で、夏の茶席の花として宜美される雅趣のある草である。竹器や古雅な小品の陶器に入れるとよく調和する花で、むくげの小品花と同じような、野趣と風雅とを交えた花といえる。この写真では、花器にガラスポット、さんぱくそう一本という、附楚な感じの小品花だが、竹筒の花器に入れる風雅さを、コーヒーポットに感じをかえて、ガラス器の新鮮な慇じと、たつぷりとした緑の菜、白い葉を糾み合せて、盛夏の花らしいさっぱりとした自然の味わいを、いけばなとした、ということになる。水とともにすきとおる美しさをみせている。黒いとつ手も配色がよい。緑の茎がガラス器の中に、清冷のc Bの花器と同じガラス鉢である。花は淡黄のカラー、の葉、なでしこの淡紅色の花2種の盛花である。なでしこは野生秤の河原なでしこで、これが日本種のなでしこで、大和なでしこというのはこの花のことである。可憐で優しい日本のお嬢さま方の象徴の花でもある。さて、カラーを右によせて、左になでしこをさし出し、中央に空問をあける様にさしたが、この挿し方は細花のなでしこの花を浮き立たせる星のある緑ことになり、全体的にもひろやかな感じのする花型である。カラーの緑の葉となでしこの淡紅の色も美しいし、カラーの黄花とガラス器の透明も、明る<新鮮な感覚がある。ガラス器の内部ヘカラーの葉を沈めて挿しこみ、剣山をかくすように注意した。雪柳の緑に白花のすいれん二種、白花のダリアの大輪咲にシュ二種、リーガルリリーに白花のバラ二種、こんな配合もよく調和するだろう。淡泊な色彩が好ましい。ロの槃3 c D ⑪ カラーなでしこさんばくそう⑪...

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