テキスト1969
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京都の河原町に大和民芸という店がある。民芸品らしい大道具小道具をとりまじえて売つている、いわゆる「民芸屋」である。信州の戸棚から藍染めの手拭いにいたるまで多秤多彩。ときどき通りがかりに入って「なにか面白いものはないかしら」と選り好みするのも楽しい。この竹で作った手提篭、小品ながら中々すつきりしている。庭の隅にあった細い木をつり手にして「つり花いけ」に使ってみた。中々風雅である。A B Rこの篭は小さいけれど形にしまりがあり野趣がある。台所にぶらさげて便利の入れものに使うのか、腰さげの形をうつしたものらしい。まつすぐな木の軸をつり手にして天井から下げてみると形がよい。桔梗の紫と庭のしだ3枚、姫かんぞうの細い葉を後方に少しあしらって活けてみたが、清楚な味わいの投入れが出来た。こんな篭にはやはり自然趣味の材料がよく調和する。Rもう一度いれかえて笹百合2本、おおせいの緑の葉3本を添えて軽い気持ちで挿してみる。辟土の前に下った花がすつきりと浮き立つて美しい。静かな風に小さくゆれてみえるのも、初反の花らしい風情がある。かけはないけ、つりはないけと定った花器よりも、この様に風雅な篭を利用するのも中々楽しいものである。(篭のお値段は五00円でした)4 つりはなの野趣

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