テキスト1969
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c朱色のボケ、テツボウユリ、菜の花の三種瓶花。ある。基本花型の立体真主型の形であって、ボケの真、副、胴、テッポウユリは中間に3本、菜の花は留と控に2本入っている。初級の練晋用にこの花型はわかりやすいと思っ。例えば雪柳の緑葉、白百合、紅あざみ、花菖蒲、バラ、鳴子百合の葉の様な配合も、同じ感じの作品がつくれるだろう。朱色、白と緑、淡黄のこの瓶花の配色は、平凡な色彩だが中々美しい。4月初旬の瓶花で後方の菜の花はずつと深く奥に入れて花型の深みを作ってある。⑪かきつばた、紅つばき、がくの若葉、この三種を材料にして、少し趣向の変った盛花を作ってみた。こんな盛花は「意匠花」ともいうべき種類のもので、かきつばたと椿の落花が中春の季節感を出していると思う。盆は春度塗(しゅんけい)の直径45センチばかりの、ひろやかな盆で、これに金属の水入れを左方の隅におき、それにかきつばたとがくを挿し入れた。庭の淡紅の椿の花を短かく切りとつて、また落ち花の美しいものを添えて、形を考えながら盆の上に配骰した。色彩的にも美しいし季節感の深い装飾花でもある。これは床の問に調和する温雅な趣味のものだが、新しいモダンな趣味の歴塗盆に、花椿だけ三、四輪置いて、それで出来上り、といった調子のものも趣味のよいものと思っ。軽やかにきれいな趣味、少し「粋好み」といった感じの花でもある。この様に、いけばなの中には「意匠花」といった別の趣味の作品がある。c 桑原専慶流4月13日、倉敷市船穂町公民館において開催された。直門会は岡山県下の当流師範者及び門下の人逹の一年一度の顔合せと、各自の作品を出品する意義深い催しである。新装も新しい公民館を会場として出品約二00点、盛大な花展が関催された。立花、生花、瓶花、盛花など各教授者の花席を連ねて陳列され、まことに盛観であった。岡山県直門挿花大会京都より家元専渓氏、同隆吉氏を迎え、午後一時より家元の「花手前式」にはじまり、全席の作品を巡覚、作品の批評があつて午後3時挙式を終[した。この日は明るい春の協の、のどかな日であり、会場は参観の来費で賑わった。岡山県下の桑原専慶流は高梁川の上流地方より、海岸宇野に至るまで、また備前地方より広島県下まで随分その地盤が広い。師範教授の数は二百六十余名である。岡山県本部で統轄している。(倉敷市)7 ⑪

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