テキスト1969
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③この瓶花は、木苺(きいちご)、フリーヂヤ、ミニチュアローズの三種である。きいちごは園芸品種のかんほくで高さ2メーター程度のもの、緑の茎にみどりの若葉、すがすがしい感じの材料である。ミニチュアローズは小型の可愛いい花をつけたバラで、これは紅色である。花器はうすねずみ色の変形の壷で、活けてみるとどの花にもよく調和する花器である。花器の左よりに花材をのせかけわだって美しい。て、ほとんど花船の外へのり出しているのだが、材料が軽いので写真でみるほど不安定ではない。花器は霊く花材は軽いので、この少しはずれた様なバランスが、案外おもしろい。右の方へはバラの葉を出して軽く小さく作ってある。花型は、左勝手の真主型であつて、その中に中閲と留とが省略した形である。さわやかな晩在の瓶花といえよう。緑の中にバラの紅色3輪がき④ゆるい曲線をもつ三角型の水盤、まっ黒の陶器。花はフリーヂヤとミニチュアローズ(濃紅)の二種。これは分体花型の小品である。黒い花器にフリーヂヤの白と緑の葉、バラの紅と濃緑の葉、配色が美しくすつきりとしている。花器が小さいので花も小さいものを選ぶ、或いは花の小に対して花器も小型のものを選んだということになる。この二種の花はいずれもやさしく可憐な感じの花なので取合せとして③ ④ もしつくりしているし、小品的な一つのふんい気をもつていると思う。こんな感じも盛花の―つの意匠であろう。①の菜のはなチューリッ。フの分体花型と、この盛花を対照してみて下さい。同じ花型でも趣味がだいぶ違います。ただ、二つの中にある共通のものは、技巧の美しさである。この写真のフリーヂヤの右の方の葉、自然に折れているのだが、これも花型にアクセントをつける意味で面白いと思っ゜3

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