テキスト1969
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ここの稽古場は1月の第2土曜日から始まる。年末に活けた花がちょうどこのころには乱れる頃なので、新鮮な花を活けかえるのも気持のよいものである。しかし、まだ15日ころまでは、花屋にもめぱしい花も少なく、しばらくは新春らしい花も入らない。ようやく20日をすぎると、椿の美しいもの、アカシャの開花、ボケ、なたねなど、いよいよ春の花らしい材料をみる様になる。この記録は1月の下旬よりはじめることとした。この木瓜は太く古木のおもしろい調子の材料である。12月よりみられるぽけは、普通はもつと細く自然らしい味わいがあるが、こんなに太いのは盆栽風に刈り込んだものに違いない。花屋では「雲龍ほけ」といつているが、これは雲龍ほけではないと思う。花屋から大きい束をもち込まれた1月25日ぽけつばきので、それをわけて使う。この材料は枝振りもよく、形も充分ととのつているので、ただ、バランスをよく考えて花器におさめればよい。自然を活かす、そんな考え方で活ける。朱色の花が美しい、あしらいに薮椿の朱色の花をつける。同色だが、少し色の差があり濃緑の椿の葉との配合がよい。和室によく調和する「文人趣味」のいけばな、そんな感じの花である。淡泊な感じにぽけの枝線を活かして活ける。(花材費五00円)RR2月1日アマリリスアカシア黄色い花の咲いた温室のアカシヤ、今年はじめてみる美しいアカシヤの花である。これにアマリリスの赤色2本、アマリリスは花の咲きぐあいがあまりよくないが、稽古用の材料なのでまずまずである。花器の背高いものを選んで垂体に活ける。真、副、胴の各部と花器の前にアカシャを入れ水ぎわをととのえる。アマリリスは茎に美しさがある。かいうと同じ様に直線の緑の茎、これが引き立つ様に高く挿し、少し傾けて活ける。葉を右前斜より後方へ7枚ほど入れ、色彩の調和をとる。花器が深いのでアマリリスの花軸に竹をさし込み、壷の底まで竹をさし入れて留める。アカシャを入れ、アマリリスの花を挿すと、狭い花器の口はほと人どいっぱいになり、葉は留りやすくなる。4月頃まで瓶花にも盛花にも調子のよい花材である。アカシャはだらりとうつむかない様に、上へ向く様にさし、少しためる気持で挿すと形がよくなる。こんなに咲いたアカシャには、白い花をつけるのがよいと思う。白いバラ、白椿などがさっぱりしてよい。(花材費、三五0円)ある教場の記録花材配合の研究@ @ No. 2 10

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