テキスト1969
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生花には基本型がある(真の形)(行の形)ちばんわかりやすく、この流儀の代表的な花型でもある。生花は、型にはめるものだと考えられやすいが、これは大変な誤りで、自然の草木の個性を活かして、かなり自由な形を作ってもよいことになつている。それには、甚本花型をしつかり勉強せねばならないのだが、技巧的にむづかしいのと、季節のうつり変りに随つて、活け方の変化のある材料が次から次へとうつり変るので、完全に活けることが出来るま、練習には行の花型がいる。で、相当な期間を要することにな基礎的な技術が完成すると、いよいよ自分の創作に入ることができるが、この創作には範囲があって、あくまで、生花の基本的な形と考え方を根底にして、その上での作者の考案を加えることとなる。この伝統的な技法があつて、そこに生花独得の品格が生れることとなる。しつかりとした技術と高雅な格調が、伝統のいけばなの特殊な味わいとして、大きい魅力となつているものと思っ゜c c猫柳に薮椿1本の生花である。花型は行の花型だが、猫柳の真、副、胴の枝の分量にも変化があり、閾子がかわっている。軽くさらっと入れた猫柳だが、淡泊で枝のよせぐあいの美しさ、空間の美しさ、そんなところに注意している。この作品は、椿を一本で作った留の面白さに特徴がある。つばきの足もとを美しく見せて、葉と花の大きさと、柳の主体とのバラソスを考えて、変調な中に均衡をよく保つている。⑪シンビジュームに山地のシヤガの葉をあしらった生花。この洋蘭は、支那蘭と洋蘭との交配種で、最近よくみかけるが、引きしまりがあつて形がよい。黄褐色の花である。洋蘭の葉をあしらうべきところを、シャガの葉で代用したが、生花の花型を作るには、このほうがしまりがあってよい。自由な―つのエ夫である。生花としてはのんびりとした自然風な花だが、こんな材料を使うのも異色があって面白い。5 ⑬

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