テキスト1969
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`r\ すこし調子の変った生花(せいか)を活けてみた。普通の行(ぎよう)の形ではなくてこの4作はそれぞれ、花型や材料の仙い方にユ夫をして、風雅な形、そして創作の考えを交えて活けたつもりである。二月から三月へかけては、木ものの材料のいちばん多い季節であり、生花の勉強には都合のよい季節である。生花を習つている皆さんはこの期間に、技巧の勉強をされることが望ましい。ここに掲載の4作は、流儀の代表的な花型(行の花型)とは、少し変つている。いわゆる草(そう)の部に入る生花である。Rはたうこん、チューリッ。フに活けた。はたうこんは早春の山担に若芽をみせる風雅な木である。褐色の中に緑の渋いつぼみをみせて、三月下旬に索朴な花を咲かせる。はたうこん、と言う名もしずかに上品な呼び名であるが、その名の通り雅趣の深い憾じがする。褐色の備前焼の陶器にくばり木をかけ、右方の副を長くさし出し、真は左へ少しかぶつているが、副の長さでバランスをとつている。副の長さに対してチューリツ。フを小さく入れた。中央の見越(みこし)の枝も、普通よりは高く人つている。の2種を「左勝手副流し」R一重切筒(いちじゅうきりの形づつ)に、猫柳、デンドロビュームを取合せて生花とした。銀色の猫柳は野趣のある材料だが、また反対に配合する花によっては、明るい感じに見える花材でもある。バラ、洋蘭などによく調和するが、洋蘭をねじめにして、花に活けるのは、珍らしい配合ではないかと息う。ことに、一重切筒の様に使いにくい花器に入れたのだから中々むづかしい。とにかく猫柳を右勝手の副流しに活け、内副(うちぞえ)に1本、細い枝を入れて調子をかえた。蘭は足もと(みずぎわ)で―つにまとめて、花は自由に右ヘ垂れる様に出した作生C4(紫紅色)4 @ @ 変った感じの生花せいか

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