テキスト1969
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猫柳とストレチアは実に調和がよい。ストレチアの太い花茎、猫やなぎののびる枝、ともにのびのびとした直線である。オレンヂ色の花、極楽鳥ばなとは、だれがつけた名かは知らないけれど、まことに南国に咲くこの花の情緒を、よくいいあらわしている。猫やなぎの銀色の粒とオレンヂ色の花の色調も個性的であるし、モンステラの農い緑の葉が、たっぷりとしたうるおいをみせて、この盛花をぐつと引きしめていると思う。花器は渋い青色のコンポートで、全体は落跨きのある新鮮さをもつている。これは、たとえば渋い好みの趣味のいいきれじの様に、その中に静かなモダンアートの味わいが感じられる。はつきりとした個性のある考え方、しつかりとした目標をもった花だと思つのだが、これは作者のひとりよがりの言葉かもしれない。(専渓)、。し梅、若松、白菊3種を、やきしめの変型花器に活けた。これは褐色の土色をした、おもしろい形の花器だが、活けてみると花材が浮きたつように美しくみえて、案外、調和がよ二月の花だが、迎料の花としてもよい取合せであると思う。この盛花は「文人趣味」といった感じの花で、ストレチア、猫やなぎの瓶花の明るさに対して、これは古典的な渋さをもつ花である。風雅な落若きをもつ花ともいえる。座敷の琵包床(びわどこ)へでも飾ると調和がよいだろう。花型は「留主型」の形であって、梅と菊がのびやかにはいつている。No. 70 桑原専慶流毎月1回発行R 編集発行京都市中京区六角通烏丸西入桑原専慶流家元1969年3月発行R いけばな

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