テキスト1969
27/147

水仙は世界各国に咲く花で、百合、バラ、カーネーション、ツバキ、の様に、東洋にもヨ—ロッパにもろく世界各国にも分布して、多くの種類が栽坑され、或は自生の品稲も多い。イギリスでは四00年以前に、24種のラッ。ハスイセンが知られただけであったが、現在では王立蘭芸協会で分類されたカタログには8000 秤以上の園芸品種が登録されているとのことである。りつかすいせんいつしき立花水仙一色から戸外で開花するが、冬季はシシリー島で栽瑶されたものを、切り花として送られている。水仙の栽培は数百年以前から行われ、ギリシャの悲劇作家、ソフォクレスもイギリスでは3月マホメットは「古い世の偉大なる女神の冠、水仙は天の露に活きて、朝な朝な美しき花の群をなして揺れる」と、その歌剌の一節に書いている。「二片の。ハンを持つものは、その一片をスイセンの花と換えよ。゜ハンは肉体に必要なものであるが、スイセンはこころに必要な。ハンである」と述べている。桑原専慶作(元禄時代)ヨーロッパの水仙は、ラッ。ハスイセンの固芸品稲が多く、ラッパスイセンの原産地は、スエーデソ、イギリス、ポルトガル、スペイン、イタリヤなど、全ヨーロッパに及んでいる。日本の水仙は、室町時代に中国から伝った種類で、はじめ「雪中花」ととなえて、白い花辮に黄色の小さい盃をもったこの水仙の花は「ナルキスス、ダゼッタ」利といつて、南欧、ボルトガル、北アフリカ、シリア、インド、中1、日本に分布する種類である。その他、黄水仙、口紅水仙、などがわが国で園芸栽培されているが、普通の和種の水仙といわれているも同同、ひ水仙のは、房総、伊豆、駿河、淡路島、北陸地方の海岸に野生する品稲である。水仙は暖流の流れる海岸地方に野生する草花なのだが、北陸線武生駅の北方、越前岬地方に野生するものは、恐らくあの海岸に暖流が流れるものと息われる。俗に「越前水仙」ととなえて、昔からいけばな材料として用いることが多く、また、淡路島の水仙は、洲本市よりバスにて1時間以内の「立川水仙郷」という地方に多い。さて、水仙は昔からいけばな材料として、四季の花の中でも霊要な花の一っとなつているのだが、支那でもこれを「水の中に咲く仙花」とい桑原次郎兵衛作(元禄時代)う意味で水仙と名づけ、「天にあるを天仙といい、地にあるを地仙、水にあるものを水仙という」と、昨敬の花としている。花追では、古典の立花に「水仙一式」という、霊要な「習いもの」があつて、技巧的にもむずかしいし、花型にも複雑な種別がある。松一式、杜若一色、蓮一色、水仙一式、楓一式などを刃一式(ごいつしき)といつて、立花の中でも重要な作品として、立花を充分なしつくしてその上でのことになつている。ここに掲げた作品は、桑原専慶流の立花の代表的な名作といわれているものである。水竺也ヘ•ヽ「平1いごと」という11

元のページ  ../index.html#27

このブックを見る