テキスト1969
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し~,07相↓、3§ヽ9渋い好みの花と明るい感じの花、この二つを並べて考えてみよう。皆さんがこの二つの作品をみて、そんな差違のあることに気づかれることと思うのだが、さらに色彩を考えてみると一層、それがはつきりする。花器と材料と花形、それらの違いが二つの作品の味わいを変えているのだが、それぞれ性質の違った作品となっていることも面白い。Rの作品は、かけ花である。長い形の篭を壁にかけ、花材は「山藤の実」「草藤の花」の二種を垂体に入れたもの。山藤の実(提色)に草藤の花(紫花)J\ 、V ‘、“、ーの取合わせは、取合わせとして変つているし、花型もよくととのつた作品だと思この写生闊は10年ほど以前に書いたもので、私はそのころ川辺の花の研究をやつておったが、淀川流域の淀大橋の東岸堤防で野生しているこの草藤をみつけた。普通の野生の草藤は小さい花なのに栽培のものと変りないこの大粒の草藤をみつけて、驚いたり喜こんだりしたものであった。採集して帰宅後、活けたのがこの絵である。記録というものはよいもQである。(9月12日挿花)Rの作品は、ハワイの花「レッドジンジャー」「あけび」の二種瓶花である。航空便で送ってきたというこのジンジャーは濃い紅色の集団花で、いかにも南国の洋花らしい感じをもつている。あけびは山のつるものの実、花器はオランダ製の陶器「扁壷」である。濃い紅色の派手な感じの花、白に紺色の医案のある陶器、いずれも明るい色調である。普通の趣味なれば、この二種へ洋種の葉もの(例えばカラジュームの葉のような)をつけるところを、渋いあけびの実とつるをあしらったのは、いけばならしい品位と落着きを作ろうとした考えであり、のびのある形、細いつるの効果などを計算して、そして、肝心なことはこの瓶花から明るいモダンな翠じをつくり出すことであった。対照的にならべた紅の花2本、まるい実の配置、こんな配合配色によつて感覚の変った味わいを作ろうと考えたのであった。風雅な材料を活けたかけ花と、モダンに明るい小品花と、それぞれ異った美しさがあると思っ。花と器と考え方の三つが結ばれて‘―つの味わいを生み出すことになる訳である。対照的な作例をあげてみた。,~ 心し叫氏'■ふ痣.-恐、---'-➔~;.,.』-·—::一..ヽ、--—:11 rー.,埒渋い好みの花明るい感じの花R ろっ゜R

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