テキスト1969
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写真Rは、真主型の立体瓶花です。立体は直立でなくとも、ほとんど立つ姿という意味です。立体の中には、ほんとうにまつすぐに見えるものもありますが、それでも前方へは必ず傾けていけます。写真の材料は「からみずき、白つばき」の瓶花ですが、真を長く、副を短かく軽く作ります。この写真では椿の控に変化のある枝を入れて、これはかなり後方へ出してあります。中間は控より短かく入れていますが、この長短はどちらでもよいのです。張本型といつても自然の花材の形を活かして使うことが肝要ですから、あまり窮屈に考えな立体真主型い様にして下さい。真の高さは花器の高さの約3倍(花器の口もとより上へ)程度ですが、これも花材によって2倍半程度の長さでもよろしい。副は真より少し後方に入っています。真が前へ傾くと自然、副の位附が左の後方へ控えることになります。写真でみる胴は左下に短かく入っていますが、これは実際は、前方へかなり出ており、しつかり入っています。この瓶花は、からみずきの深い赤色の小粒の実、白つばきの白花と葉の濃緑との配合で、色彩的にも美しい花です。からみずき白つばきcは、からみずき、水仙、つばき三柚の盛花です。盛花は瓶花にくらベて材料をたっぷり入れます。花器が口広いのでそれに調和するためです。横はばを広く作つて安定感のある花形を作ります。花形は瓶花と同じ様に、真長く副短かく作り、これが「立体真主型」の盛花です。中間はすらりと高く立ててのびやかな感じを出します。ことに水仙ですから、直線的に自然のままの葉組みで新鮮な感じに入れることが大切です。で、江戸初期の伝書に「つるもどき、からみずきは、背からある木の実梅もどき、からみずきを以つて実の三木ーーさんぽくー—となす」と記されておりますが、ことにこのからみずき(暦水木)は木肌の美しい品格のよい実もので、色も沈んだ色の中に華やかな赤の、伝統の味わい深からみずき紅椿水い材料です。さて、8ページの梅の瓶花の副を見て下さい。この副は斜前方へ出してあります。また、9ページのからみずきの瓶花盛花とも、その副は真よりも後方に控えて挿しています。写真ではわかりにくいのですが、実際作品では、はつきりその差のあることがわかります。そこで、一体、副は真の後方へ控えるのか、前斜に出すのか、それについて考えます。これは、どちらでもよいのです。要するに真の左方の下に少し小さく入れ、前斜に出しても、後方に出す場合(この場合は真が前へ倒れる)も、それぞれ感じが迩つてみえますから、二つの方法を、材料と見合わせて応用して下さい。(副を後方に控えた垢合には、真、中間、留の各枝を前方へはり出させてバランスをとる)c 仙R

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