テキスト1969
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瓶花と盛花の基本花型③ 前回に「副主型」四つをすませたので、今回は「真主型」に進みましよう。写真をみると前のと同じ様にみえて複雑ですが、つまりは真、副、胴、留、中問、控の六つの各部分が、それぞれ主人となつて、その場合には他の五つの役枝が補助枝にまわる様に考えてあるのです。副主型の場合は副を長く力を入れて、他の部分は軽く入れ、真主型の斜体真主型場合は真に力を入れ、他の部分を軽く入れるということになります。また、それぞれ立体と斜体とがある訳ですから混雑しない様に覚えて下さい。さて、今回は真主型ですから、線画の基本型の様に、瓶花も盛花も同じ考え方で、その中の斜体と立体の写真を掲載します。写真Rは「梅つばき」の真主型です。真は大きく、副胴は軽く、つばきは中間に開花を入れ、控はずつと後方左よりに、留も右前に小さく入れました°←盛花瓶花の花形のいちばん下の部分、花器の口辺に重なる部分を「みずぎわ」といいます。伝統のいけばなでも最も技巧の大切な部分といわれますが、新しいいけばなでも同じく、この部分を美しく仕上げることが必要となつています。盛花でも瓶花でも普通は、花の下葉が花器の口もとにおおい重なつて、そこを美しく作ることに注意しのよい配合です。盛花の場合も同じ形ますが、この部分「水ぎわの技法」について考えてみましよう。この部分の仕上げ方に一――つの方法があります。これを具体的にいうと。この三つの方法がある訳です。花葉でかくす場合は、ほとんどこのやり方が一般的ですが、この場合、花瓶の色調や彫刻、図案などの上に枝葉が重なることになり、陶器の場合には、壷水盤などその焼きぐすりの変化のある部分に重なることとなりますから、ただ花型のよさを考える花葉でおおいかくす。花体の足もとをすかせて、みずぎわの空間に変化のある線を見せる。足もとの空間に見える枝線を技巧的にそろえる。盛花瓶花のみずぎわだけではなく、花器をよく引き立つ様に下葉のすかし方などに注意せねばなりません。いけばなとしても、形の一ばん重要な場所でもあり、技巧を要するところです。次は、足もとに変化のある空問を作る場合です。これは花材の性質からくる場合が多いのですが、例えば梅、ぽけ、雪柳の様に足もとの線に変化のある木もの、足もとの美しい線をもつ木もの草ものの場合に、その変化のある部分を見せる様に、わざとすかせて、みずぎわをあらわに作る場合です。この場合は縦横ななめに交叉する様な枝線の見えるのがよく、そこに変化の美しさを見ようとする活け方です。また一部分だけすかせる方法もあります。この号の写真の中に、「みかん、水仙」の瓶花の様に、「梅、スイトビー」の意匠花の様に、一部をすかせる作品もできるわけです。第三の場合は、足もとをすかせて、しかも技巧的にそろえる様な作り方です。これは直線の材料の場合が多いのですが、「水仙とせんりよう」を立体に盛花に入れ、直線が水ぎわで揃う様にすかせる、或は「アイリス、カーネーション」を立体に活け直上する二つの足もとが、美しく立ちならぶ様に活ける、そんな方法です。他にも例が多くあると思います。8 真主型321梅・紅つばきは早春の瓶花として調和ですから,ここでは省略します。R

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