テキスト1969
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②これは離れ座敷へ行く歩邸に飾ったいけばなです。廊下という名は休のある渡りみち、ということになり、敷き瓦のみちは歩廊ということになるでしよう。その歩廊の一隅の壁附に高卓(たかしよく)を骰き、花を泊けたのです。ツルモドキとヒマワリ粘花、①の作品ですが、①とは少し花型が変つています。連ぶ途中でこわれたのですが、とにかくこの写真では飾りつけの場所を見て下さい。一坤ほどの土間の隅に占向卓を附いて、この瓶花を飾ったのですが、こんな狭い楊所には小さい花ほど感じがよくかけ花の釘があれば理想的だと思います。日本趣味のつくりですから、台もモダンなテーブルでは調和が悪く、古風な日本趣味の道具がよいと息います。この壁にかけ釘を打ち風雅な篭の花入れをかけ、てつせん、まんさくの紅葉、椿一種などを活けたならば、よい謁和だと思います。この次の写真にはそんな花を活けて見ていただくつもりです。さて、この瓶花は小品という花ではありません。そんなに大きい花ではないのに小品的ではない、普通の瓶花です。小晶花というのは小さくとも充分の力をもち、小さいがゆえに特殊なもち味のある作品です。濫'f. ... ② 離座敷の窓際に横長の書類棚があります。長野県の民芸瀾の棚ですが、褐色のがつしりとしたもので、いけばなを飾る場所として適当なのです。とにかく表通りの街路から60メーターも奥の部屋ですから、私の家の一ばんどんじりの場所です。この棚の上へ小さいしきものを敷き、これへ花器を附きました。部足は和洋折衷の感じなので、洪い棚も調和するし、明るい装飾調度も調和します。四角い格子のあるガラス障子の前へ、落舒きのあるこの瓶花を飾ったのですが、ゆったりとした柚長の棚も花を落貯かせて見え、棚の黒褐色、花器の黒褐色、しきものは洪い黄色、花材の緑と紅葉、淡黄の菊などの色調が仝体的に共通した色感を見せ、この瓶花の置き場所として適しているのではないかと思います。部屋の中には花を飾る場所が多いと忠います。床の間に飾る形式的な考え方はさておき、花器と花とをよく選択すると、どんな場所にでも調和するいけばなが作れます。それをよく考えてびったりとするいけばなを作ることは、活ける人の考え方によるのです。きった大きさの盛花瓶花を祈けるのでは、その場所を活かすことにはなりません。垢所によくのる花、これが部屋を引き立てることになります。いつもきまり④ー①

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