テキスト1969
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童話の世界をいけばなで描く、といった感じの小品花三つをみていただきます。この春、テレビ放送のときの作品ですが、普通のいけばなはいろいろ種類が多いのですが、時として、こども達と一しよに楽しめるお花といったものも、作ってみたいものです。一種の意匠花ともいえるものですが、むづかしく考えないで、可愛らしいユーモアのある花を活けてみようではありませんか。どこの家庭にでもある小道具を使つて、少しばかり花を添えると、すぐ作品になります。アイデアのよいこと、美しく愛らしい作品であることが望ましいわけです。こんないけばなもあっていいはずだと思います。婦人百科(2月号)と放送をごらんにならない方のために掲載しました。① R チュータの人形が百合の花を肩にかけています。前に珍味入れのガラス器があつて、百合の足もとが入っています。一輪の白百合の花が大きな荷物のように見えます。チュータ君が一生けんめいにかついで、水のあるところまで、どうにか運んできたという感じです。右手を百合のくきにかけているところが可愛いいですね。R猫のドラ公がストレチアの花を見あげているところです。陶器の吸いがら入れを利用して花器にしました。ストレチアを1本、剣山に留めて、直線の茎をまつすぐに立てただけのお花ですが、ドラ公の人形をそばに置くと、ストレチアは高く高くみえます。ヤシの木を見上げるライオンといったところ。③ .. それに水を入れ、こ。f 篭にガラス鉢を入れてテッポウユリ2本、シクラメンの淡紅の花2本ドラ公の表情をみてごらんなさい。高いけれど、あそこにうまいものがあるのだがなあ、といった目つきです。びったりとした配合の面白さです。そして、その中にユーモラスの感じがあります。③スワンの形をした篭です。これは皿入れなのですが、首もとにピンクのリボンを結んで、装飾にしましをさしました。これは水鳥の感じなので、百合のつぼみの花首を小鳥の様にならべて、葉をとり去つてその感じを出すようにしました。シクラメンの紅色を添えて可愛いい感じを出しました。これは「白鳥の湖」といった感じですね。ユーモアのある小品花(NHK婦人百科掲載写真)桑原素子①11

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