テキスト1969
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c庭のしゅろちくの葉を切りとつて活ける。みずみずしい葉がひろがつて、明るい形である。これは洋花が調和するだろうと、白花のきんぎよ草2本、ビンクのカーネーションを5本添えて盛花を作った。しゅろちくは大葉2枚小葉2枚を組み合せて、横長の高足花器に挿した。葉が大きく垂れるので腰高の花器がよく閲和する。この盛花で注意するところは、しゅろちくの葉の使い方である。前向きにつき出して上向き下向きを抱き合せるように挿してあるのだが、この形は挿すのにむづかしいが、葉色も豊かに見え、金魚草、カーネーションを入れるとき、入れやすい様に形をきめておくことになる。花器に重なる下葉の線も美しく、軽快な感じをみせている。後方、控に一枚入れ、これは上向きに深く葉をさし出して、前とのバランスをつくつている。カーネーションは中間より右前へかけて、また、前方みずぎわへも垂れさせて配列の変化を考えてある。中間高く、またれ、まん中のしまりを作った。その前へ倒して金魚草を2本入(人手かずら)大輪白菊3本の盛花。花器は青掲色水盤である。この盛花は基本型にそうて活けた花型で、アイリスの真より副へ、左後方のモンステラは副、前方左のモンステラの葉。菊は中間、留と胴の中へ1本入っている。控は軽くアイリスの葉。以上で基本型を少しくだいた程度の形である。対。ヘージの野薔薇の瓶花も、この盛花と同じc ⑪アイリス4本、モンステラ程度の基本型を少しくだいた花型で、字体の行書程度の柔かさだと思つて間違いはない。アイリスの青い花、白い菊、たっぷりとした緑の葉、このとり合せはみずみずしいうるおいの多い花である。モンステラは温室の壁面天井などに気根をはわせる植物で、俗に電信蘭ともいわれ、その根が土を離れて空間にかかつて成育するのでこの名がある。人手かずらは、モンステラの中の一種で、人の手の形をしているので一般的にこう呼ばれている。使いやすい形の材料で、盛花にも瓶花にも活けやすく、水揚のよい材料である。この盛花は新年の花としてもよく、手に入りやすい材料である。アイリス、カーネーションなどはつほみよりも開花している方が格好がよい。咲いていても日持ちがよく、つぼみの花はしおれやすい場合がある。これも、注意して選択することである。7 D

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