テキスト1969
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ぶノ花器は高足の盛花器、掲色の陶器である。陶器屋の店頭でみつけてきた普通一般的な花器だが、形が変っているので下垂形の材料にはよく調和する花器である。しきものに用いたのは気泡ガラスの薄盤(うすばん)とでもいうのか、ガラスのしき板である。氷片の様な感じがして、夏向きには適当な感じといえる。うけ皿の様な形をした花器の上部に剣山を入れて、花はむべのつる、うす紫と白の大輪咲きダリアを5本挿した。むべには自然趣味のりんどうやキキョウなどが普通の取合せだRむベダリア.. -めに、葉をほとんどとり去つてすつために浪紺のバックを使った。が、花器とガラス盤の明るさに調和するためには、ダリアのような洋花がふさわしい。ダリアの大輪咲きを五つならべて花の集りをつくり、軽やかな茎の曲線をもつ、むべの形と対照させたが、ガラス器とダリアと、この二つが調和を作っていると思むべのツルと実の形が面白い。花器の前方をよぎる緑の線、左上方のツルと実の配列の美しさをみせるたきりとさせてある。この花の写真は、ダリアの白とガラス器の性質を出す\、B A 青葉のすすき1本、白菊1本の小品花である。花瓶は濃い紫色にDもとに金色の線条のある「鶴首花瓶」である。京都の陶芸家永楽の作品で、品のよい美しさをもつている。盆は象彦の「金色蒔絵四方盆」で、この花瓶と盆との配合は、ちょうど伝統的な日本画にある様な、しずかな美しさの中に、澄みきった日本の工芸の美しさをみることができる。Rの写真の、あまり上笠でない新しそうな形の花器とガラス板の配合と、Rの内容のある深みのある美しさとを比較してみると、写真でさえも、はつきりとその性質と、上手もの(じようてもの)ー真実の美をRすすき白菊/ も|1の区別がわかると思っ。つ工芸品ーーと、下手もの(げてもの)|ー思いつき程度の応用花器また、Rの花器と花材は、それなりの美しさがあり、いわば大衆的の意匠花といえるし、Rの場合は本格的な日本座敷の床飾りの花ということができ、いずれも、装飾の場所なり、用い方がちがう作品ともいえる。皆さんがみて、この二つの差迄をよく理解することが大切である。格好よく活けるだけがいけばなの全部ではない。花と花器の性質をよく知り、いけばなの中にある品格についての理解がなければいけないし、それそれの花材の選択、分量、花形に適切な配駆が必要ということになる。4 ゜三\’ •

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