テキスト1968
88/110

右JRカシワゴムは熱帯原産のゴムの樹の種類で、写真にある様に大きい濃緑の餞葉植物である。の黄緑、少し朱に色づいたものを取合せて3本、右勝手の副、胴と留の部分に1本挿し、ゴムは真、胴、後方の左方へ控の心にて3枚入れた。紫陽花の枯花を1本、右前のすそもとに低く入れ、サンキライ、ゴムの大まかな感じの中へ、小量の変つた色(椙色)の材料をさしはさんで、変化をとつてある。花器は黒色にさびた朱色の模様のある新しい形の花瓶で、これは陶器である。この瓶花は普通に咲く花を交えないで、実と葉と枯花という渋い好みだが、変った配合をしたもので、ある場合には、美しく咲く花をはなれて、葉と実のみで活けるのも変った味わいがあり、面白いものである。この作品は変化のある材料の配合、渋い色調の中に新しさを見ようと考える瓶花で、普通の場合では難しい配合だが、こんな考え方もあるものだという意味で参考にして欲しい。右下部にあるアジサイの枯花は写真ではわかりにくいが、色もよくたち、この1本によって、単調なこの瓶花に変化をつけていると思う。この花型は垂体でこの場合は真を低く入れ、全体の形が低く横にのびる様に活ける。サンキライR ススキカシワゴムサンキライ紫陽花の枯花白花リンドウウメモドキA JiすRすすき、白花りんどう、枷もどきの三種の瓶花である。花器は濃紫色の新しい形の鉢゜この花型は左右へ枝葉の出る対照型で、中央に高く真のすすきが立つている。左方の梅もどきの副、胴を前斜にさし出し、中央下部へりんどうを長く前へ挿し出し、その後方へ深くりんどうを人れてある。つて、中間ののびた形、前方から見ると左右均斉の花形となる。梅もどきの赤い実は、実つきの少しさびしげに見える程度のものがよく、賑やかにつきすぎたものは、いすきの葉とりんどうは高く使つの楊合もよくない。梅もどきは晩秋のわびしさといった感じが好ましく、派手な美しさを見る花材ではない。この3種は10月の中旬に活けた瓶花で、すすきもりんどうも、すでに盛季をすぎて、花の姿もうらぶれた感じがして、深い秋を思わせる花である。花瓶の口もとで花材の足もとをすかせて、木と茎のあらわに見をる様に作ったが、りんどうの葉は少し紅葉を交えて、この辺が技巧の見せどころである写真は光を変えて撮影したが、これは「晩秋の夜」を感じさせるいけばなである。B 2 R

元のページ  ../index.html#88

このブックを見る