テキスト1968
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cさわぎきよう(沢桔梗)は、山地の水辺に出生する山草である。沢桔梗という様に、清らかな谷川の草野原に静かに咲く花、というのが一ばんぴったりとする風雅な花である。京都附近では比良のやくもが原に咲くのを見たが、まことに清楚な風情をもつ花といえる。八月中旬より九月中旬頃まで咲く初秋の花だが、やさしい薄紫の花と細々と高くのびた姿は、いかにも日本の花らしい高雅な味わいがある。われもこう芙蓉(ふよう)けいとう花器は淡い撮色の薄手の鉢を選んだが、この花器も落着きのある味わいのもので、この花によく調和した。沢桔梗を五、六本、自然の姿のままに立休調に挿し、茎の線を前後に重ね合せて背高くすらりとした形に挿し留め、根じめには、芙蓉の淡い黄花を2本、前の水ぎわと後方の控え奥深く挿した。この花形は左右に張らない様に、前後に茎を重ね合せて深く入れてあるところに特徴のある花形である。広口の花器の左右をたっぷりあけて、中央に株をすえた。芙蓉は一日の花である。夕刻にあす咲くつばみを切りとつて、足もとをたたきつぶしてアルコールにつけ、その後、冷水にうつす。⑪九月初旬、ワレモコウ(吾亦紅)にクルメケイトウ(久留米鶏頭)の二種をとり合せて活ける。花器は、少し淡い紺色の手附花瓶、秋草二種の瓶花である。くるめけいとうはまた若々しい黄みどりの葉に、光沢のある紅色の花頭をみせて、それをおおいかぶせる様にワレモコウの緑の細い茎と掲色の小さい粒(花序)を重ねて挿す。初夏のかすみ草の様な感じがして、色彩的にも而白い。みなれている花材であるのに案外、この取合せは少ない様に思う。初秋らしい味わいの中に明るい感じのする配合である。二つとも水楊のよい材料である。c 増加しましたので、この講座を再桑原専巖流の盛花瓶花を新しく翌いはじめた方達のために、袖本花型の解説をはじめます。このテキストの初号に掲載したのですが、最近、新しく人会された方が盛花瓶花基本型の解説(次号より掲載)>‘.o 開します。写真と文によってわかりやすく説明しようと息つております。なるべく、一般的な花器と材料を使って解説します、御期待下さ5 ⑬ c沢桔梗D

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