テキスト1968
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嵯峨この辺りは名勝が多い。石庭の竜安寺から、桜のお室、大覚寺、嵐山と観光バスのコースをはずれて、かな裏適を歩くと、野の宮の旧蹟、落柿舎、えんり庵、祇王寺、滝口寺、二尊院、常寂光寺、大覚寺の裏迫づたいに竹薮の道を行く直指庵、化野念仏寺など。念仏寺より少し歩くと旧あたご道の鳥居本に至る。清滝川と保津川の落合(おちあい)は、渓流づたいに高雄に行くハイキングコースである。青葉の頃もよいし紅葉散りしく風雅な道でもある。さて、この写真は鳥居本(とりいもと)にある料理茶屋「鮎の紺」鳥居本は愛宕詣でのIH参道で、ここから歩いてこころみの坂を越え、消滝に出る。愛宕神社の一の鳥居のある鳥居本には、参詣の人々の休憩宿泊の茶屋があり、平野屋、ったやなど享保年間から「鮎の茶屋」として有名である。歌舞伎の舞台装附にある様な風雅なわらやが、環檄とよく調和して面白い。名勝に対する「いろ、つや」といった感じである。少し粋好みの花を活けてみた。竹の皮で編んだ篭、この花器は農家のせおい篭の形をうつして作ってある。青楓3本に白桔梗4本の投入れである。つゆ晴れの軒端にかかつて緑の葉の楓は、しつとりとおおい重なつて静かな風景である。青楓に白桔梗を添えて、その風雅と「鮎の宿」の粋好み、これをいけばなとして作ってみた。べたづけでない様に、上品な意匠を限度に考えて活けてみたのだが、あるいは独りよがりかも知れない。こんな調子のいけばなを意匠花(いしようか)といいますが、これはいけばなとしても十分よい作品であるとともに、その中に作者の上品な意匠がのべられてあることが必要です。L の奥静。長ヽ,層~ ~ 鮎喜宿言r:

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