テキスト1968
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皐,... \ ヽ.. ~ 2、前号において、装飾美術の作家である花道家が、いけばなの分野を越えて、その造形作品を作る場合、植物材料以外のいろいろな種類の、例えばコンクリート、を使って、新しい作品をつくりつつある、その考え方をお話した。つづいて、さる5月28日より開催の「いけばな芸術展」出品の私の作品について、その出発点から結呆に立体造形いけばな作家の43年作品N02桑原専渓(海渕)の部分金属などの素材作るものは何をあらわすのか、自分A ② 至るまでの経過をお話して、皆さんに「こんな考え方で作ってあるのか」「どんなにして作るのか」を説明してみたいと息う。このお話は、ただ、この作品に対する説明だけではなく、花追の造形の考え方を迎解していただくことにもなると思うので、日常のいけばなには直接、関係のないことではあるが、あえて誌面をさいて記事にした次第である。話をわかりやすくするために「発想」「制作」「結果」の三段にわけて書いてみよう。(はつそう)この傾向のいわゆる「前衛的な造形作品」は、これまでにない新しい考え方が基礎となるもので、前衛という言葉の意味の「先顕にたつ」という意識のもとに、作品を作るということはいうまでもなく当然なことであって、期に新しい創造、自分目身さえもこれまで作っておらない新しい形と技法をもつて作成して行くことが、その理想の第一歩である」したがつて、作品を作ることは、まず最初に「考える」ことから始まるわけである。「なにを作るのか」である。そのはその作品を通して何を言わんとするのか、若し自分に夢があるのであー発想ったならば、その夢や理想はどんなところにあるのか、それが作品として作り得るか、作者の心をあらわし得るか。まことに、この発想の段階は大切な重要な段階なのである。価値の高い作品を作るためには、この第一歩が最も重要な時間となる。基礎となる構想が定ったらとにかく画に作って検討する。最初は簡単な線描画から段々と粕密に描いて、幾枚となく書きなおし、高さ、横巾、厚味などを考えつつ、自分の理想と、作品として実現し得る計画を図面に描いて行く。また、会場の広さ、作品を箇く左右前後の環境などを研究しつつ、原図を描く。この場合には、すでに材料の考え方も定つていなければならないし、また材料によって作り得る形、性格も大体定つておるので、それらを見合せつつ実現し得る実際について、たしかな計罫をすすめて行く。いよいよ制作に入ることとなるのだが、これからは私の作品「海渕」について、その実際工程をお話してご参考にしようと思う。前回テキストの作品写真とここに掲載した二枚の写真をご蓑になりながら読んで下さい。まず、ここに掲制作B (せいさく)載の写真Rは、前号写真の一部分で、細部を見るための参考写真である。また、⑧は、これも私の作品で、昭和36年の作品(東京、全日本いけばな代表作家展出品)である。作品題名は今回と同じく「洵渕」ーかいえん—ーであつてこれはその第一回作であって、今度の「海渕」は第二回作ということになる。同じ題名を使っている理由は、この作品をもつと深く追及して行きたいという私の希望と、同じ題名のもとに、「海底の描写」に対する私の夢をひろげて行きたいと思うこころと、この二つのためにわば連作の一環ともいえるし、今後前号にも少し祖いている様に、私はこの作品を作るにあたって、海底にある見ることのできない様な「秘境」や、そこに棲息する不思議な姿の動物、魚類の姿、形、色などを想像して、それを自分の考えによって、いろいろな夢を作りあげ、造形の技術によって、作品として美術的な価値あるものにしあげたい、そんな欲望をもつてとりかかった。それが成功するしないはとに角として、発想としては正しいし、夢の展開の範囲も広大であるしいよいよ深い。私はこの発想のもとに作品を出発させたのである。(No1)(N02)と重ねている次第である。い(N03)を作る意欲も持つている。(つづく)ヽヽ‘ 占、‘~~`こ’~36年作品(海渕)NO. 1 専渓作小、、疇\,ヽ東京全日本いけばな作家展出品

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