テキスト1968
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分体花型はいわゆる株分(かぶわけ)の盛花である。盛花だけではな<瓶花にも作ることのできる形で、これは伝統的な生花の「水盤株分け」から延長して、盛花にとり入れられた形である。随つてこの生花の株分けという考えがあるので、ともすれば形が固くなり、型にはまった様な自由さのなぶんたいかけいい形となりやすい。さと、材料を自然に活かすのびやかな形に活けることが大切であり、そんな点を十分に考えて、その上に分体花型を作ると、大変面白い作品が作れるのである。体と二つにわけ、主体は(真、副、胴、留、控)の五体に作り、分体は(留、中間、控)の三体に作る。控を二つ作ることになる。主体と分体いうまでもなく、盛花の形の自由基本花型は右図の様に、主体と分との中央に空間を作り、これを美しく作って水の見えることがこの花型の条件である。以上は、基本花型(右勝手)ーーこの場合は留の方が花の表となるーーであって、これから出発して、応用的な花型にすすみ、練習を積んで後、創作的な形を作るようにする。ここに掲載した写真4作は、分体花型の創作であつて、美しい色彩の花、自然趣味のそれぞれの分体花型である。cかなり大きい黄土色の四方型水盤である。かなり深いので白砂を沢山入れて、剣山を安定させ、また水面に見える白砂の清楚な感じも装飾として考えてある。ダリアは白とうす紫の交った大輪咲き3本、オミナェシを前方に重ねて挿し、淡黄の花を通してダリアの花色と濃緑の葉を見せる様に考えた。なお、前方c の分体の前ヘナルコユリの葉を入れ、配合に変化を添えた。左右の株が別々の様にならないで、重なりあいながら、主体分体の形を作ることが必要である。⑪なつはぜの紅葉、りんどうの青い花、ナルコユリの白いくまどりのある葉。この三種で分体花型を作った。中央の空間を美しく作ることが大切で、しかも、この作品の場合は、右方のなつはぜを左方の株の前方へ重ねる様に枝を傾斜させ、左の株にもはぜを2本挿してある。枝の交叉した線の美しさを見せる様に注意する。りんどうの紫花が、紅葉の中にあって色彩的にも効果がある。この花型は、右の株が主体で左が分体である。自然趣味の配合で、しかも明るい感じのする分体花型である。D ,

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