テキスト1968
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活けるはじめに材料をよく選択することが大切なのですが、この選択にもいろいろ考え方があります。配合の上に趣味がよいとか、色彩がよいとか、花器とよく調和するものなど、どれも必要条件なのですが、なおその上に、花材のもつ鮮度が重要な条件となります。手の切れる様な新鮮さ、したたる様な花の色とそのみずみずしさ、これが必要なのです。ここにある四つの盛花瓶花をみると、どれも新鮮な感じがわき出ています。どうしてこんな新鮮な感じになるのか、それは材料を買うときの注意によるのです。お宅の庭の花や、農園の切りたての花は一ばん理想的ですが、一般的には花屋で買うことが殆どですから、その買うときの選び方が大切ということになります。「私はどうしてもこれが活けたい」などと考えないで、花屋の店の一ばん新鮮な花、その中で取合せをきめることです。したがつてどんな花材でも活けられる融通自由な考え方をもつことが大切で、また、どの花が新鮮であるかを見定める目も必要となってきます。お定りのような取合せをすすめます、買うのに自信のない人は、ついそれに乗せられて平凡な配合の材料を買うことになります。ここが大切花屋へ買いに行きますと店の人がなところで自分の個性や好みを押し切ることが必要になつてきます。花屋へはすぐ店に入らないで、店外から店の花を一とおりながめて、今日はどの花にしようと定めてから店へ入るのが一ばんよい方法です。この場合が一ばん大切で、あなたのいけばなが、気持よく活けられるかどうかの分かれ目となるのです。花屋に電話をかけてレデーメードの取り合せの材料を買わない様に、特におすすめします。大変手数なことですが、是非おすすめしたいことなのです。このテキストに活ける花も、その日の夕刻、ちょうど花屋が市場からダリァ前2時頃まで次々と活け、次々と写R 仕入れて店に美しく並べた時間をみはからって買いに廻ります。この場合、とりつけの花屋だけでなく四、五軒の一ばんよい店を車でかけ廻つて、適当な材料を買い集めることにしています。一時間ほど市内を走つてとりあえず、新鮮なもの、少しでも翌月まである先物(さきもの)の花を、調子のよいもの、色彩のよいものを、数を考えずにどつさり仕入れて帰ります。帰ると午後7時すぎ。それから写真の(小西進氏)を相手にして、午真にとります。少しでも皆さんの参考になる様に、同じ様な感じにならない様にたえず考え反省しつつ活けて行きます。いけばなの作品がよくても写真としてよくないものもあり、よく出来た花が写真で見ると全然感じが悪かったり、全く写真の花はむづかしいものと思います。写真はまず手札に焼き、その中から適当なものを選択して、大きさや画面の形を考えてレイアウト、更にそれを引き伸ばして大きくします。写真が出来上ると、編集に入ります。編集と原稿八0枚を四日間程度で書き上げます。全部専渓が直接やりますから、皆さんへ話しかける様な気持で書けることが、私の大きい楽しみとなっています。また、このテキストの特徴でもあります。4 R ささゆりかゆ{ノ,, ~(•;w,.; i あざみ

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