テキスト1968
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生花は盛花瓶花に比較すると、花形に制約があり、技巧も中々むづかしい。活け上げて如何にも上手な花だな、と思う様な作品は中々作れないものである。随つて生花の稽古は幾度も幾度も繰り返す鍛錬ともいえる勉強が必要となつてくる。出来上った作品からは、盛花瓶花にある様な自然さと、色の美しさ望まれるし、楽々と活け土ったゆとりのある感じが望ましい。型にはまったうるおいの乏しい生花は、すで一已過去の時代の古い生花である。が.. c Rがま(蒲)には、写真のように太い種類と細い種類のものがある。細いがまは姫蒲(ひめがま)という。池沼に出生する水草で、ふとい、すいれん、こうぽね、はす、などとともに夏のいけばなによく使われる材料である。写真の生花株分挿は少し変つており、蒲の後方に百合を1本入れ、がまの葉を通して見せようとする考え方である。株を分けて桔梗3本を入れ、留の形を作り、控に桔梗を1本入れた(普通はがまの葉を入れる)かな形に挿し、自然らしさを作っている。技法は伝統的だが自然を加味した新生花といえよう。Rささ百合、かんぞうの葉、桔梗3種の生花である。普通は笹百合、桔梗2種で活けるところを、かんぞう、がまの葉もかなりのびやの曲線の葉を加えて、花型に変化を作った。かんぞうの葉を加えるだけで、のびやかな花型になったと思う。がまの水盤挿といい、このささ百合の生花でも、いずれも山草3種をとり合せているので、自然環境がよく合致する材料で、活け上げてもしつくりと調和した生花となつている。百合の生花は花首が同じ方向に向かない様に注意すること。みずぎわをしつかり―つに、美しくまとめ土げることは生花の品位を上げることになり、大切な技巧である。くばり木はまつすぐな「真のくばり」を使った。がまの花器は、褐色(内部青磁色)で、手付きの重量のある水盤である。ささ百合の花器は濃い緑青色の壷で、生花もこんな花器に入れると落着があってよく調和する。cアマリリスの水盤牛花。葉11枚、副、副のかこい葉、胴、胴のしずみ、留、総かこい、留の返し葉、控)に入っている。花は(真、胴、留)の3本である。おもとを大きくした様な花型で、洋花の中では生花に適した材料といえる。花軸が太いので葉もゆったりと組む。アマリリスの花軸は柔らかく、剣山に挿すと倒れやすいので、竹、木の10センチ程度のものを剣山に挿してとめておき、それへ花軸をさし込む様にして立てると倒れることがない。かゆうの花も同様にすると完全にとまる。花3本。葉は(真、真の前、見越、3 . (瓶花・テッセンショウブの葉)ニ全

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