テキスト1968
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⑪白い牡丹を手附篭に入れる。このは中央に手が前後についている白いとうの手提篭(中国製)である。まん中に手があるので左右に花を活けるのが普通である。この牡丹は少し咲きすぎているのだが、一輪は少しつぼみのほうがよい(後方の花がつほみであるとよい)牡丹は一種挿にしすることが多い。青磁の花瓶に牡丹一種の瓶花は最も典型的な好ましい趣味である。この盛花は牡丹に少し意匠をつけて、添えたが、季節の取合せとしてよい調和だと思っ、牡丹は葉が大切である。⑪牡丹むぎ\9,’ i . , 緑の表をc褐色の平皿(ひらざら)に矢車草(やぐるまそう)一種の盛花である。季節には少し早いので、関花が少く色のあるつほみの花が多く、若々しい新鮮さが憾じられる。冑、淡紅、濃紅、紫色など色が多いので一柾挿に挿すことにした。どこにでも見られる平凡な花なので、それから特徴を出そうとすると中々難かしい。この花は、花数が多いので、高低の芹をつけると、花色も複雑に見えてわずらわしく、すつきりと慇じられないので、花首を上方で揃えて、下へは花を少<挿して、扇形に上方にひろげて上を揃える様に考えて花形を作った。堅いつほみの垂れたものは、少しためると上へ向けることが出来る、花首をなおす処理の仕方がこの花を賂然と見せることになる。ただ、そのまま挿したのでは美しくならない、水盤に白砂を入れて、足もとをきれいに整えてある。c矢車草一種このごろ花屋から稽古花として、かきつばたの堅いつぼみの材料をもつてくる。一たばの3本とも堅いつぼみで、花軸も細く紫色のみえない緑色の小さいつほみ、葉も普通のか配。きつばたの葉とは細く引きしまつて形もよいのだが、長さも40センチそこそこ、普通のかきつばたの花も葉も半分ぐらいの大きさのものである。この種類のかきつばたは活けても花が咲かない。花屋では「なにしろ今年は冷え冷えとして中々花が咲きませんので」などといつているが、この小型のかきつばたは、野生のかきつばたで、野川に点々と自然に出生する、いわゆる「野間」ー'のかきつばたであるよくみると葉も細く堅く葉色も少し濃くて、栽培のものとは違うのだが、一般には見わけがつきにくい。すぐ咲きますといわれて買うのだが、中々咲かないでそのまま枯れてしまう不良品である。勿論、自然の土地では咲くのだが水盤の中では咲かない野生のかきつばた。花屋の方では刈りとり自由の材料だから、これが栽培品と同じ様に通れば利益が多いが、買う方は咲かない花を売りつけられる訳で、先生方でさえもよほどの玄人でないと、わかりにくい品ものである。野生の材料が悪いというのではないが、はじめから咲かないときまつている杜若は、わびしい思いがする。咲かない杜若ーのま7 . 篭. ' (""'

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