テキスト1968
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け低く活け、その心をあらわす。盛季の杜若は、葉も強くなり、葉色も色を増して、濃い緑色となる。葉組みも少し荒くとり、背高く作つてのびやかな姿を作る。葉組みの数も多く入れ花も初期は2本程度、盛季に入って5本程度まで入れる。盛季には花型にも変化を見せる様に、風雅な種々な意匠的な花型を作るのがよい。例えば、水盤の二株挿し、一重切筒の窓の花に、或は寸筒の一種挿しなど。また水盤挿しの場合には。水切葉の配置に変化を作り、葉の形もこの頃になると、曲りのある葉が入り交つてくるから、これを巧みに利用して風雅な花型を作り上げる。<せ葉の用い方が巧いと風雅に気品のある花型が作り出せるものである。葉組みの定めを正しく守りながら、一葉一葉のくせをよく選んで組み合せることが必要であり、規格通り正しく組んでも、の形に考え方のない作り方は、全体の花型を平凡にするし、その中に作者の心が見られない。葉組み―つでもその場所その場所によって、形の迩った葉組みを作り、葉をよく選択して全体の花型に味わいを作る考え方が大切である。多くの葉の中には、強く太い成長の葉、細く若々しい若葉、親葉は細く小さく硬い葉、これらをよく選んで、その中に形を見つけ出して組む。組み方を正しく組むこと、規格通りの株を配置することは、先ずなにより大切なことだが、それだけではよいが葉出来るものではない。一組みの風雅な形の葉組み、それの用い場所、つて、雅致のある花形がつくられて行く。規格通りの葉組み、花の使い方だけでは優れた花は作れるものではない。い心としつかりとした直線的な気持ちで活けることが大切である。花の用い方にも同様な心くばりが必要である。開花、中開、青いつほみの配置、その花軸の太さ、くせ、の応用によってよい形が作られて行く。にも中葉と親葉との色にも注意がいる。浅みどりの株もとは水の中にあった場所で、これを高く使うと感じその葉組み一っが悪い。切りとつて濃い緑色のところを水ぎわに挿す。(かむり葉)といい、この用い方がむづかしい。水面より出る若葉は水切葉(みずきり葉)といい、この水切葉は初季にやや多く用い、晩季には用いない。花は初花の季節には葉よりもずつと低く挿し、四月中旬よりはやや高く入れる。のびてゆく杜若の季節感を出すわけである。四月一組み高さ低さの配合などによ弱くやさしい杜若ではあるが、強葉の色に対する注意。一組みの葉花くびより長くのびた葉は冠葉中旬よりは材料の姿も力強くなり、変化のある葉も多く見られ、花も太くいかにも隆々とした趣があり、生花にもこの感じをあらわすことが大切である。副と留の葉を特によく選んで、少し曲線のまる味をおびた葉を使うと全体の花型がよくなる。水草はすべて水面の美しさ、その株もとの美しさを作ること、これが大切な技巧である。杜若の足もと水面に接するところ、いわゆる水際(みずぎわ)の美しさは、生花にはどの場合にも必要なことであるが、ことに杜若の様な水草の生花には、美しい水際の技巧が大切なことである。水面をきる杜若の緑の葉組み、株もとに添える短かい若葉(水きり葉)の繊細な葉糾みの美しさ、株の四き方、その組み方、みずぎわだけを見ても、全体のよしあしを定められるほど大切な部分である。水盤に清澄な水を満たして、すつきりと立ち上った杜若の清楚な感じは、この花のもつ独特の優雅さである。自然に咲く杜若の美しさを心において、水と水草の情趣を描く。生花の定めは定めとして、或は省略し或は応用の心をもつて、自分の思いを作品の中にのべて行く。それが生花としての創作であり、伝統芸術の本当の心でもある。(専渓)さふ,,,,,,,,,,;,① 5 Aさんはお稽古をはじめて約6ヶ月になります。今日は(なつはぜ,すかし百合)を活けました。①の写真はAさんの活けた盛花です。(おけいこの作品)Aさんの作品を先生か②の様になおされました。枝葉のすかし方がたりないこと,花の配置がよくない,百合の葉を美しく整理すること。そんな注意をうけました。

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