テキスト1968
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cこの花型は水盤の一株生に、水切りの若葉をあしらった生花である。Rの水盤生を少し変えたもので、Rの場合は株分けにして、主の株から水茎が右方へのびて、そこから新しい葉株がのび、花をつけた姿で、すべて株分の考え方は、この様に自然の出生を写して作る訳である。cの写真は、主株の葉組が六組み、真、副、見越し、胴、控にこの場合は留の葉を主株につけてある右方の水面に小さい水切葉一組みを添景として入れたが、これは意匠的に自然の情景をうつしつつ、留(子株)の方向に水面を切(3枚組)、以上六組み。る若葉の姿をあらわしている。清らかな水面につっと出た若芽。そんな感じの情趣を見せた活け方である。この水切葉は一瓶に一組又は二組み程度がよく、多く入れると品格がさがる。すべて意匠の過ぎたものは品位がよくない。注意したいことである。すつきりとほのかな作意、この程度にとどめたい。なお、杜若の葉み組は一枚一枚のくせをよく考えて、用いる場所に適した葉組みの形を作ることが大切。ここに活けた水盤挿しの生花の場合。副の葉、留の葉、胴の葉など、よく選択してあることに注意して欲しい。親葉の使い方にも美しさを考えるべきである。⑪かきつばたをまたくばり木で活けた真の花型である。水盤生は自然描写の趣きが深いが、この真の花型は品格の高い味わいがある。稗通は竹筒の花器に入れるのだが、陶器に入れると技術的にむづかしいが、いよいよ風雅である。くばり木の穴の秋い形のものを選んで、前後に正しくまつすぐにかけ、活ける前に頁より留控まで葉組みを作っておき、活けるときは留の葉、胴の葉と花、副の葉、真の葉と花、控の葉と前方より逆に入れて行く。葉と葉の問に(ヘだて)の葉片をはさみながら活ける。葉糾みのこわれない様に、葉組みの正しく見える様に挿すためには、俊れた技巧がいる。この写真をみると、刷の葉が長く、留を上方に立てて、左右のバランスのよい花型となっている。特に葉を選んで、手早く仕上げないとよい作品が出来ない。c 3 ..... D

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