テキスト1968
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木冬1このページの2作は、12月より1月へかけての瓶花である。少し季節おくれだが花型が変つているので、掲載することにした。そしんろうばい、若松、白椿の3種の瓶花である。花器は群青色の扁壷(へんこ)で消水の陶器である。扁壷とは扁平(へんぺい)な壷という意味で、伝統的な花瓶の形式の―つである。この花器は名作の陶器だが口もとが小さいので、太い材料は入れにくい。かなりどつしりしているので、こんな花器にはやや細い材料で、かなり枝葉のかさ高いものを選んで活けると入れやす2作い。1月の花なのだが、若松のみどり、黄色の猟梅、白つばきの3種を入れ、木もの三種を配合して、形と色彩の調和のよいものをあつめて活けた。若松は小枝のあるものが理想的で、この写真に見るものは少し太すぎるし、形もまつすぐで単調な様に息う。ろうばいをそしんという種類の美しい花色のもので、これを若松の左前へ1本と、写真では見えないが後方深く1本入っている。単弁の白椿のさびた枝振りのものを軽く前方左右に入れて、松、椿、ろうばい3種のそれぞれ形の違ったものを取合せて、もの3種ではあるが、それぞれ形の混雑しない様に注意してある。さびた感じの落若きのある瓶花といえよう。R R信濃柿(しなのがき)を右前隅に傾斜させて留め、左後ななめに小振りの枝を入れて、右長左短の均衡を作った。前すみと後すみとに入っている訳である。この場合、右前の枝は裏枝に使って、逆のさし方になつているのだが、案外、形が面白い。こんな使い方もやつてみることである。菊は黒いほどの紅の大輪菊3本、中央の奥深い位nU直に直立させ、1本は中央前に傾斜させてずつとさし出し前方の講子をととのえている。これで大体の闊チをつくり、みずぎわの左すそより、右中央へかけて白椿の枝を登らせて変化を作り、なおその前に信濃柿の小枝を重ねてある。全体ひろやかな花型に仕上つているが、花器の赤褐色の扁壺との涸和もよい。(原色日本樹木図鑑),しなのがきは琉球豆柿ともいい、本州四同、九州、琉球に産し豆柿に似て築はやや広く、裏は緑白、ところどころに栽焙され、果実は渋用に仙われ、材は堅く俊美、工作材に使われる。7 の瓶花, R ろうばい若松白椿しなのがき紅菊白椿

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