テキスト1968
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るJC④―はしばみ、白椿の盛花である。はしばみは晩秋から初冬にかけての材料で、この季節になると築は黄ばみ、落葉して風雅な姿になるので、この頃のいけばな材料として、また茶席の花として好んで用いられる。榛という字を使っているのだが、この木は「かばの木」科の落葉かんぼくで高さ3メーター程度のもので、庭園、花固に植栽される木である。山地に自生する「はんの木」というのがあおなじく榛の字を用い、これは20メーターに及ぶ落葉喬木(きようほく)で、同じくかばの木科だが、木」「はり」「赤楊」などともいわれ別種のものである。これは冬期二月頃、撮色のまるい実がつく。さて、このはしばみは渋い雅趣のある木もので、これに白椿の配合は仝く調和がよい。はしばみには白椿に限る、といつてよいほど白椿がよく、渋い緑色の「はんの木」「はりの実が細い木に連つて段々につき、黄緑の葉が少し残つている姿は、佗びの雅致をそのままに見せる材料といえる。この材料は分量も少く活けるのがよく、二、三本投入れに挿すといった調子が、一ばんこの花材を引き立てることになる。写真の花は、白つばきをあしらつて、掲色荒土の花器(やきしめ)に入れたが、直線のはしばみを3本、立体に入れ、その前と後方へ椿の開花つぼみを前後深く挿した。幽玄、静寂といった感じのある花である床の間に書軸をかけ、この花を飾りつけたならば、全くよい調和であろう。茶室にはこれを、細口の花瓶に入れて憤いけに。竹器の一重切に少なく分量を入れかけ花にすることが多い。葉は水揚が悪く、すぐからからと巻きあがるが、そのまま―つ二つ残して枯れ葉のままにつけて活ける。A R寒桜(かんざくら)秤盛花である。花器は洪い緑色のフランス陶器のサラダボール。返り花の桜は11月はじめより12月へかけて咲く。秋は返り花が多い季節で、ぽけの花、寒牡丹、つつじ、かきつばた、などいずれも返り咲きの花である。必ざくらと朱色の菊は色彩にも美しいが、二つ三つ残った桜の葉が紅菜して、ことに雅趣が深い。この悩、紅菊の二花は桜の枝の訓のあるものを、右に長く流れる様にさし出し、少し前ななめに出ているが、その前方に小枝を人れ、さらに奥深く2本の枝を入れ、枝の交叉によって変った調子をみせている。勿論、創作的な花型であるが、生花の真流しの様に技巧的な形の作り方が面白い調子である。枝の曲線を利用した変った花叩である。4 .... ..... .. . はしばみダリア@ 寒桜(かんざくら)紅菊,B

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