テキスト1968
101/110

c紅褐色に色づいたあかめ柳、に入るといけばな材料に使う。瓶花にもよく、生花にも活ける。葉のついたものを小量、これに菊、早咲きの椿など調和がよい。晩秋から冬へ向う季節感の深い材料といえる。分量を多く使うと俗になるので淡泊な程度に使うのがよい。洋花にも調和よく、バラ、カユウ、ダリア、白百合などがよくうつる。盛花にも瓶花にもよく、風雅な趣味よりも明るい感じに仕上げるつもりで活け10月たほうが、この材料を引き立てることになるこの写真はダリア(紅白交色)4本、あかめ柳5本の瓶花で、花器は白色陶器(三角型)に剣山を入れて留めた。柳を少し曲線にためて、交叉する様に立体の形につくり、その前方と後方ヘダリアを2本ずつ、後高く前低く垂れる様に入れて、このダリアの花の配列によって、これで全体に変化のある様に考えた。ダリアの葉の空間、花の配列、柳の配列、これで形が作れている瓶花である。c ⑪ ぶどうの実cあかめやなぎダリア白中菊D ⑪白竹の篭にぷどう、白中輪菊の投入れである。前にもお話したが、桑原専脱流では篭で活けるときは投入(なげいれ)と呼び、壷で活けるときは瓶花(びんか)ということになっている。花器にふさわしい名前だからである。写真の花は渋い紫の実をつけたぶどうの小枝2本、残りの枯れ葉がわびしく風雅である。これに花葉とも引きしまった中菊2本をつけた。褐色のぶどうの木と枯れ葉、紫の実、菊の白花と葉の濃緑、大変美しい色調で、花器の篭は大ぶりの横長の篭だが、白竹の篭によく調和した投入れである。ぶどうを左方に2本傾けて入れ、右方に1本枯れ枝が入っている。篭の手にふれない様に少し空間をとつて入れる。こんなに手のひろやかな篭は、大きく入れることもよいが、また篭の手の内におさまる様に、小さく入れることもある。つばきの大輪、ぼたん2輪ほど、ばら一種の様な材料は、篭の手の中におさまる様に入れるのも上品である。褐色に染色した篭は冬季でも使えるが、白竹の篭は四月頃から晩秋十一月頃まで使う。すぺて篭は瓶花ほどしつかりと入れないで、軽やかに淡泊な感じに人れるのがよい。洋花よりも日本種の材料がよく調和する雅趣を見せる花器といえる。3 3

元のページ  ../index.html#101

このブックを見る