テキスト1967
97/100

大小のよく調和する花瓶を二個とり合せて生花を活ける。これを「二瓶飾りの生花」という。竹筒と陶器の小鉢、壷と水盤、長い壷と低く小さい壷、陶器と銅器、壷と篭花器など、その他、二つの花器が調和するなれば、どんな取合せになつても自由である。要は意匠的に美しい感じの配合、雅趣のある配合であることが肝心である。黒塗りの長い板の類に飾りつけて装飾に使う。花型は二管筒と同じことであつて、花器が意匠的であるところに特徴がある。大小の生花を二瓶入れるのが普通であるが、時として上は生花、下は小品盛花と組合せたり、上は瓶花、下に水仙、杜若、おもとの生花という様な配合も面白い。また、瓶花と盛花の二瓶を活け合せてもよい。二つのいけばなが形にも色彩にも、材料の感じもよく調和する様に考えることである。(写真)まんさく、白中菊の生花は、高い褐色の壷に、紅葉のまんさく、菊の白と緑、美しい配合の生花で、右勝手の副流しである。右方に低く丸い青磁の鉢を置き、ほととぎすを7本、左勝手の真の花形に入れた。花瓶二つ、花形二つがしつくりとよく調和する様に考えることが必要である。まんさくはのどかに自然風に入れ、根じめの菊は、ひきしまりの花形に、特にまんさくの方へ寄せつけて、変った調子につけてある。前後に菊を3本並べて、こんな留の形も面白い。ほととぎすは、真、真の後、副、胴、胴のしづみ、留、控の七本を入れ、足もとは七宝(しつぼう)花留具で留めた。剣山と違って、この場合は(たてぜん)をつめて留める。生花の場合、足もとが美しく見られる。技巧よく二つの花を活け、それを寄せ合せて、配合美をつくることとなる。壷鉢5 二瓶飾りの生花にひんかさせいかまんさく白中菊ほととぎすピ→置ヨ

元のページ  ../index.html#97

このブックを見る