テキスト1967
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2 二管筒、三管筒の生花については、前号で説明をしてあるので、ここでは、写真の作品についてのお話にとどめることとする。Rの作品の花器は(三管筒の中段と下段の竹器を使って)活けた。右方の筒には、さんざし一種(左勝手、草の花型)左方の筒には、まさき一種(右勝手、行の花型)さんざしは、副流しの草花型で、自然風な枝を選んで、たっぷり大きく入っている。副の長い形にかんづつせいかさんざしまさき二管筒の生花(そう)のなので留は小さく作り、また、左方に、まさきの生花を置き合せるので、その釣合いを考えて、留を小さく作つてある。左方の筒のまさきは、小葉の引きしまった「ひめまさき」といわれるもので、黒つぼい緑の葉が美しい。これを、やや小ぶりに活けて、さんざしの花型の大に対して、小さい形に作ってある。さんざしが⑥の大きさなれば、まさきは④の大きさに作ると丁度、よい加減の配合になる。この様に、花型の大きさも、花の勝手も、真行草の配合も、それぞれ変えて組み合せをつくる。さんざしは、10より12月頃まで、赤い実のつく山木で、木振りも柔かく、紅葉が少し残って美しく風雅である。ためもよくきき、生花の材料.. に適している。これに濃い緑色のまさきの配合は、色彩的にも美しい。なお、この場合くばり木を(さんざしの場合は左後に穴)(まさきの場合は右後に穴)のある様にかける。花器は三管筒の上段と下段を使って活けた。上管に、つるもどき(右勝手、草の花型)を活け、根じめに、白の中輪菊あしらった。下管には、りんどう一種(左勝手真の花型)を活けて、上管は大きく活け、下管は小さく作ってある。Rの場合と同A つるもどき菊RRりんどうB じである。つるもどきは黄朱の実、白菊、りんどうの紫と配色が美しい。つるもどきは七月より十二月頃までの実つきのツルモノで、この写真の様に、副、胴を垂れさせて活けると、自然らしくもあり、花型も感じよく見られる。細いツルモノなので、互にからませて活けるか、他の木ものの枝振りのよいものを花器に立て、それにからませながら花型を作ることもある。写真のツルモドキは、細い樹枝にからめつけて真の形を作った。菊の根じめは小さく前後にならべて挿し、下のりんどうの花型との調和を考えながら形づくる。りんどうは3本を左勝手の真、副、胴と挿し、留は下葉で調子をつくり、淡泊な感じの真の花型に活けた。Rのさんざし、..Tt まさきと同じ様に、右勝手と左勝手の花型が抱き合う様に、空間の形も充分考駆に入れて、適宜なバランスと。組み合せをつくる。ツルモドキの花型は8、りんどうの花型は2、の大きさである。さきにもお話したが、生花の中でも二管筒、三管筒は花材の種顕も多く入れることになるから、材料のとり合せにもよく注意して、色彩のよい様に、特にこの場合は盛花を活けるのと同じ様な、配合についての考え方が必要となる。二本の竹筒は、密若させて活けてもよく、写真の様に離して活けるのもよい。花型の変化、配合についてては、55号に三管筒の花型を線画で示してあるから、それを参照して、考えて欲しい。4 丁ぐ臼し

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