テキスト1967
95/100

う。12月の初冬を活けるI|—そんな¢、大輪菊、中輪菊、小菊、山菊などの色の美しいものを、とり交えて盛花に活ける。交挿(まぜいけ)は、10月より11月へかけての菊の季節に一度はぜひ活けたい盛花である。菊の豊かな頃に、大輪中輪小菊などの形の変化のあるもの、色調の美しいものを撰んで、花形も豊かな感じに活ける。写真にある様に、たっぷりとした形に、背は高くせず、横ひろがりに活けるとよい花形になる。左右にひろがる対照型に作るか、留を長くして留主型の形に活けるとc 菊の交挿(こうそう)令ヽ ⑪菊安定したよい花型となる。写真の盛花は、淡黄の細管の大輪咲、渋い赤褐色の単弁中菊、淡黄の山菊をとり交えて、花器は黄土色の四角型盛花鉢に挿してある。緑の葉の中に見える菊の花の美しさは、落着きのある日本調の品格がある。これは左勝手の留の長い花型で、真、副、中間の大輪菊、胴より中問、控へかけて褐色の中菊、中間と留と前置きに山菊の淡黄を配置した。菊の様にまつすぐな形の材料は、盛花の基本型に作ると、技巧的な形だが、その中にバランスのとれた、安定した形をつくることができる。モンステラモンステラの大きい葉に調和する様に古伊万里の染附大鉢を選んで盛花を作った。モンステラに菊の配合は、洋種日本種の配合で調和が悪い様に考えられるが、活けてみると案外、しつくりとした落着きがある。大菊は白の糸咲き、山菊は濃い朱赤の花で、この赤が緑の葉と花器のいあい色の図案に調和して色彩効果を見せている。花器が大きいので花材もたっぷりとしたものを活けたのだが、モンステラは一枚で充分で、これを少し前向きに傾けて、葉の面が豊かに見える様に安定させた。白菊は左右の2本を少し後方に立て、中央の1本は前方へ傾斜させてある。紅山菊は右前斜に傾斜、すそもとの小さい花を前斜にあしらって、水ぎわにアクセントをつけた。... かの名残(なごり)をたのしむというのが、うつりかわりのこのごろの風雅であろう。豊かな美しさよりも、閑寂な趣をもついけばな、瓶花にも、生花にも、そんな味わいの花か一ばん趣味のよい季節のいけばなということができる。あかめ柳に寒菊、さざんか一種、梅もどき小菊、なんてん水仙、紅葉を少し残した雪柳に早咲きの紅つばき、水仙一種、寒ざくら、小菊など12月の生花(流儀花)として季節感が深い。はしばみ白椿、梅もどき白椿、水仙に紅つばき、紅葉の雪柳に紅山菊、紅白の山菊に春蘭、なんてんに白百合、山百日紅にばらの様な材料は、12月の盛花瓶花として適当であろきもちの花を活けたいものである。山近くに住む人達は、小春日のこのごろ、手近かな山に登つて見るのがよい。紅葉はすでに落ちつくしてはいるが、山木のあらわになったすそもとに、深山しきぶの紅い実、岩がみの緑も少し紅葉に染めわけて、そのかげにやぶこうじのつぶらに赤く色づいたのを見ることができる。荒容とした疎林の趣を、盛花にうつして、落葉の山百日紅、むろの深い緑の木などを配合して、つばき、山菊などを盛り合せたいけばななど自然趣味のある花を作ることができる。3 4 tJ/1 ヽ蜻• .'! 懃;_')rr-----' 、.()·~, ` c・(:t, D .疇••••• ... •• 渋

元のページ  ../index.html#95

このブックを見る