テキスト1967
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使うはしばみ、渋い青褐色の実と、残りの葉を少しつけて、なんとなく晩秋の感じの深い材料である。そのわびしさを茶席の花として賞美されるが、これには、白つばきが一ばんよく調和する°或は単弁の白山菊、紅、黄の山菊などもよい。直立した材料なので、写真の様に数少なく立体に入れ、根じめに白椿などを添えると品格のよい瓶花となる。椿の葉のすきまの形のよい様に作り、奥深く控の椿を入れる。つばきは、形のとり方のむつかしいもので、大きく活けるよりも小さくあしらった方が上品に見られる。花葉の浮き沈みと、空間のとり方にはしばみ白椿RRC.10月より12月頃までのいけばなに。tこ よく注意して、厚味がありすぎてもよくないし、葉をとりすぎてもよくない。写真の花器は新しい感じの陶器で、渋いこの花材とは調和しない様に見えるが、形と色彩の上で一致する点を考えて、この花器を選んだ。花器の形のよく見える様に注意し一般にシルバー(銀)のアカシャという0深山(みやま)ななかまどの木もの二種の瓶花であるc草ものの根じめをつけないで、アカシャの白緑と、ななかまどの赤い実、葉の黄色など、木の葉と実の美しさを調和させて、その中に調子の変った取り合せを見ようとする瓶花。こんな傾向の配合も面白い趣味といえる。花器は黒褐色の変形陶器。アカシャななかまどA B 木も濃い緑の中に、黄いろく紅色に彩りをみせて、やがて落莫とした冬の季節にうつる。いけばなにつかう材料も、段々と冬らしい感じのものが見られる様になり、菊は残花となり、椿、残菊の紅葉、中輪菊のおくての花、寒菊の紅葉、白赤の小菊の類など、晩秋のあわれと、新らしい冬のきびしさを感じるこのごろである。なんてん、せんりよう、おもと、などの実ものが色づき、いよいよ歳末のいけばならしい材料を見る様になる残りの梅もどきの実のまばらなのに小菊をあしらった瓶花、はしばみに白棒など、12月の花として季節感の深い花材である。温室づくりの花よりも、自然の花11月もなかばを過ぎると、山の樹水仙、初冬の花

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