テキスト1967
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けいとうの淡黄2木、紅色1本、白色単弁の菊3本、すすき4本の瓶花である。花器はグレーのコンボート、花器の中へ剣山を入れて留めた。すすきを低く入れて調子を変えてみようと考えて挿したが、し淋しげなので菊を添えた。この瓶花はあまり特微のある花ではないが、色彩的には美しい。けいとうの葉をすつかりとりさつたので、菊をたしたのだが、この辺瓶花すすきけいとう菊足もとが少に少し弱いところがある。最初からはつきりとした計算がないと、こんな花になるという一例である。淋しいから添をるという考歪方は、確信のないということになる。全体よい調子なのに、菊のところを見るとどうも弱い。まずまずの作品である。後方の菊はよくきいていると思う。すすきを短かく使う考え方は面白いと思う。この場合の菊は、白の大輪菊か反対に小さい花であつても、山菊の白または黄を軽く長く使った方が、効果的だろう。この写真の菊は中途はんばの花の大きさである。会社、銀行、商店、工場その他の蹴場でいけばなを習う人が多い。多忙な勁めの余暇を利用して、習うということは中々大変なことである。勤務時間を終つて、かなり疲労した後に、趣味のこととはいいながら、たしなみごとの一っとして、花道や茶道を習おうと志すことは、かなり制約される条件もあって、その思いはあっても中々実行できにくいことである。そんな関係もあって、手軽に羽日える様に、会社の厚生部局で花道部をつくり、いわゆる載場のいけばなを奨励されているところが多い。そして勤務の余暇に自由に入会することができる様になつている。ここでは、その職場にあるいけばな桔古場について考えてみよう°桑原専悶流のいけばなをぉ剌いになっている、この様な職場は、銀行、会社、工場、仇店など、全国的に見ると数百にのほると思われるが、変ったところでは、倉敷駅前のある遊戯場で、外人の店主が花を習うことを店員の絶体条件として、奨職場で習う羽1えるから、もののついでに押励されているところもある。職場という言葉は、今日においては一00。ハーセントに近い普通の状態であって、ことに東京や大阪などの大都市では、勁労者が全部といつて過言でない。さて、識場でいけばなの集団稽古をすることについて、実際にあたつてみると、いろいろな場面に行きあたることが多い。以下は教える先仕の方から見た慇想と希望を交えてのお話である。まず、稽古に出席する人は、ある時間の動務を終つて、ほっとした時間で、大部分の人達が疲労している。早く切りあげて家庭へ帰りたい、寄徊舎の自由な時間にもどりたい、帰りに百貨店で買いものをしたい、友逹と遊びたい、そんな人達が多い。そのあいだの少しの時間を利用して、ものを習おうとするのであるから、なんとなく、中腰の様なあわただしい人逹の多いのは事実である。また、職場ですすめられて、ほんの形式的に羽曰う人、気軽につておこうかと考えたり、花器におさまったらそれでよいなどと、そんなお休裁の人逹もかなりまじつている。反対に、集る人逹がいい合せた様に熱心に、勉強する団体も多い。ここで、先生の方の私の方から言わせてもらうと、わざわざ先生の家まで羽1いに行かなくとも、事務所とか寮とか、足を運ぶことなく至つて気軽に苦えるのだから、こんないい機会はないのだし、経費もほとんど低額で済むことであるから、習わねば損だと息うのだが、中々そうは行かないものである。なるべく早くすませようと考えたり、今Hは氣ぎますのでと花だけ持つて帰る人、いろいろある。習いに行くのだったら、往復ののりものの時間と、紬翌の時問とを合せると、普通最低2時間はかかるのだから、そのことを息えば、どんなにいいかわからないのに、と山心う先住の心である。それに集団で腎う場合は、出席の時間が一定していれば、1時間ほどもあれば、先仕の講義をきくこともできる。これは個人研古にない利益でもある。個人稽古でないと充分でない桔古の仕Jjもあり、集団は集団秤占だけの利益もある。とにかく出席率をよくすることが。先決閤題であるから、習う人達もよく考えて欲しい。8

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