テキスト1967
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「むべ」と「あけび」はよく似ている。山地に自生するツルモノなのだが、五月頃花をつけ、夏に実となり、晩秋まで見ることのできる蔓性かんぼくである。広辞苑には下記の様に解説されている。(むべ)あけび科の常緑蔓性潅木。五ー七の小葉からなる掌状復葉で、五月頃白色で淡紅紫色を帯びる花をひらき佳香がある。暗紫色のアケビに似た実を結び、甘く食用。別称うべ、ときわあけび。(あけび)木通、通草あけび科の蔓性木本、山地に生え葉は五枚からなる復葉小葉。四月頃淡紅紫色の花をつける。俵形の果実は淡紫色で約一0センチ。秋熟して郁子、野木瓜割れる。甘く美味。別称あけびかずら。あけびづる。はだっかずら。以上に記されている様に、同じ性質のよく似たつるものだが、手にとつてみると、あけびは実が掲色をおびており、むべの実は晩秋まで浅みどりである。あけびは葉がうすく濃緑でざらざらしており、むべは浅みどりで厚く光沢がある。見たところは、むべの方が美しく、、。9高い花器を選んで活けると調和がよあけびの方は渋く雅趣に富んでいる。あけびは秋に実が割れて、紫白色の果肉が見えるが、むべの実は割れない。あけびのツルは木質で褐色であるのに対し、むべのツルは黄緑色で光沢がある。以上の様な相違があるが、花材としては、むべの方が美しいし> 秋も深くなると烏瓜なからすうり)使うことが多い。また、むべは蔓がしつかりして活けやすいが、あけびは柔かくやや活けにくい。写真にあるのが「むべ」だが、かなりしつかりしている。どちらもツルモノであるから、垂体に活けることになり、かけ花いけの材料として適当であり、また背のの実が赤く色づいて美しい°薮かげに朱色の実がかかつて、いかにも秋らしい風雅な情緒がある。あけび、むべなどとは種類の異る瓜科のつるものである。紫は箱がながれし通草かな水車場を囲む小薮や烏瓜A Rむべとダリア。ダリアは淡い紅紫の色のもの四輪、むべのツルが垂れるので、高い花瓶を選び垂休の花形に活けた。4本のむべに長短をつけて、丈の配硲に変化を考えながら挿したが、この場合、空問の美しさが大切であり、ツルの形もそれぞれ変化のある様に、花器の前へも実を岡いて、褐色の花器に重なる茎と実の色にも注意してある。口が細いのでダリアを。直立させて、花をかためる様に抑した。(実が大きい)水巴子規R鶏冠柳(とさかやなぎ)は別の名を国別化柳ともいう。変化のある枝を3本。後方から前方へ出して左右へひろがる小枝で、花形のふくらみを作り、その中央方右ヘバラの。涙紅と白花を6本人れた。色彩的にも美しい花である°柳の曲線の変化を、バラの前へ重ねて、浮きのある花形を作ったのだが、バラの花と緑の葉が、9心にしつかりと安定して、まとまりのよい瓶花となった。この二種の花の配合も而白い。B 6 ¢‘‘、、@ 花材・むベダリアR 花器・黒い褐色,線条花瓶花材・鶏冠やなぎばら花器白と黒,線条花瓶1."、

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