テキスト1967
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よいいけばなを作るためには、材料をよく知ることが大切である。絵をかく場合にも顔料と絵筆を選択す心ことが大切である様に、殊にいけばなの場合は一屈、直接的に花の材料のよしあしが作品に関係すること材料をよく知ることが多い。よい材料を買うには、それを見分ける知識が必要ということになる。花屋の店にある数多くの花には、それぞれ、一級品、二級品、三級品というように差別があり、その中から質のよい花葉の美しい、新鮮なものを選択する。同時にその配合について考える。枝振のよい色の美しい、光沢の美しい、そんな花材を選ぶことは、余程なれないとむづかしいものである。いけばな写真を見ても、その材料のよしあしがすぐ解るものだが、いけばなの上手というのは、片い材料を選択するということから始まるものである。技術が巧みなだけでは、よい作品を作ることは出来ない。3 5 4 このごろ、寒さのために花がしおれることがよくある。温室の花は寒さには弱いし、反対にハボタン、ナタネの様な露地の草ものを暖かい部屋に入れるとしおれる場合がある。要するに、その植物の生育した場所と同等の温度で花と温度10日間ほども保つ花でも、あれば完全によい訳だが、いちいち花のために室内温度を調節することも出来ないし、柔い温室の花など、奎内でもしおれる場合がよくある。また、店頭や百貨店の様に昼夜の室内温度の激しく変る場所では、普通なれば一日で駄目になることが多い。これは単に温度というだけでなく、人の動きの甚だしいところは、花もすぐ参つてしまうことになるらしい。住宅の部屋の中でも、ストープなど高温の場合は萎れやすいし、窓をあけ放つて寒風の中に花をおくとしおれやすい。平和な温度、これが花のために好ましい環境である。I. 5グラジオラス寒竹テツボウユリ妙蓮寺椿キンコウバイカリンバラン

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